不足が指摘される「産業の米:半導体」で期待を集める東京エレクトロンの足元

2022年1月31日 16:17

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 「不足しているものを作る企業(銘柄)は買い」ということか。「産業の米:半導体関連の企業から目を離すな」ということか。東京エレクトロン(以下東京エレク、東証1部)。改めるまでもなく目下の日本経済の再生を支えるものは「半導体需給の大幅改善」であり、「オミクロン株(コロナウイルス感染6波)動向」である。

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 東京エレクは、半導体製造装置で世界4位(国内首位)。現状では稀な?世界と伍して闘える日本企業。とりわけコータデベロッパー・エッチング装置・成膜装置と呼ばれる製造前工程に、強みを有している。

 どんな企業にも収益動向の波はつきもの。東京エレクとて、例外ではない。が、いまの状況は四季報の業績欄が見出しを【快走】とする、まさにそのもの。前3月期の「24.1%増収、35.1%営業増益、193円増配の781円は」に続き今期も、「21.5%増収、37.8%営業増益、280円増配の1061円配」計画で立ち上がった。

 だが第1四半期開示と同時に、続いて第2四半期発表と並行して上方修正。現時点での通期予想は「35.8%の増収(1兆9000億円)、71.8%の営業増益(5510億円)、503円増配の1284円配」。上方修正の理由は中間期の状況に容易に読み取れる。

★半導体製造装置: 5G需要を中心にロジック(演算処理向け半導体)及びその受託製造が、先端ロジック向け投資の著しい増加。あらゆるアプリケーション向け半導体デバイス(半導体を用いて電子部品)の世界的需要増で、広い範囲の投資が堅調に推移。結果中間期の売上高は前年同期比42.5%の増収(9057億6300万円)。

★FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置: テレビ用大型液晶パネル向け設備投資は一巡。も中小型向けパネル投資が液晶から有機ELに転換することに伴う投資が継続。

 こんな推計データがある。「2020年度には4404億ドルだった半導体市場が、30年度には倍以上の1兆ドルに拡大される」。

 どんな企業にも収益の浮き沈みはつきものとしたが、株価も同様。昨年大発会の株価は3万7520円。対して今年は6万9170円。時価は5万2000円台入り口。利食い先行と米国株主導のIT関連株反落の結果だ。だがIFIS目標平均株価は6万4314円。

 また東京エレクの過去10年間の株価動向は、各種事案に伴う変化を調整したベースで16倍強のパフォーマンスを残している。時価の予想税引き後配当利回り2%弱も含め、資産形成株であることは論を俟たない。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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