東証、取引時間延長の狙いは?

2021年10月29日 17:56

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●東証が取引時間30分延長

 東京証券取引所が2024年後半をめどに取引時間を30分延長し、終了時間を現在の午後3時から午後3時30分に延長する準備を始めると、日本取引所グループ(JPX)が正式に発表した。

【こちらも】東証再編で日本株はどう変わる?

 取引時間を午後2時から午後3時に延ばした1954年以来、70年ぶりに終了時間を延長することとなる。

 2022年4月から東証市場の再編も控えているが、世界の株式市場との競争力の強化に加え、システム障害への対応という狙いがある。

●システム障害への取り組みが不可欠

 昨年10月、東証はシステム障害により、全取引が終日停止されるという事態に陥った。

 発生後、速やかに売買停止を発表したことや、ハードウェアの故障が原因でありサイバー攻撃でないことを発信することで市場に安心を与えたことなどを、評価する声もある。

 ただ一方で、システム障害による売買停止後の再開に向けたルールが整備されていなかったことなど、ルールやマニュアル整備に対する不備を指摘する声もある。

 障害発生時に取引の機会を確保するという観点からも、取引時間の延長が望ましいという声もでていた。

●改革へ待ったなし?

 世界と比べても、日本市場は取引時間(5時間)が短いと言われている。

 世界最大の株式市場の米国は6時間半(休憩なし)で、イギリスやドイツなどの欧州は8時間半(休憩なし)もある。

 日本市場は、2011年に午前の取引時間を11時から11時30分までと延長し、昼休みの時間を30分短縮するなど、取引時間を長くしてきた。だが取引時間の変更や延長は、容易ではない。

 今回の30分延長の議論も、証券会社などからの反対があった。過去にも何度も延長の議論はあったが、労働時間が伸びることとなり、証券会社のコストも増えることなどから、反対されていた。

 取引時間の延長は投資信託の算出価格にも影響を及ぼすため、決定から数年後にしかできない。

 世界から見た株式市場として、存在感が低下している日本市場の“地盤沈下”は長年危惧されてきた。

 取引時間だけでなく、東証・大証の合併や親子上場の解消などに取り組んできているが、様々なしがらみもあり、改革は容易ではない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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