ストレージ(トランクルーム、コンテナ)首位:エリアリンクの新路線

2021年7月6日 17:33

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(画像: エリアリンクの発表資料より)

(画像: エリアリンクの発表資料より)[写真拡大]

 最近住処の周辺エリアでも、『大家さん土地を貸してください、トランクルームで運用します』といった類の看板・幟をよく目にする。ストレージ(収納トランクルーム・コンテナ)の存在が注目され始めたのは、2000年入り以降。矢野経済研究所ではその市場規模を、「2011年度には456億円、17年度697億円、20年度775億円」と「右肩上がりが続く」と推計している。

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 この拡大をどう読むか。20年度の国交省「1人当たり居住面積」に求めることができる。米国の61.2平方メートルに対し日本は40.2平方メートル、関東の大都市圏エリアでは25.4平方メートルにとどまる。「家財等の各場所が必要」というわけだ。

 そんなストレージ業界にあって、シェア約17%のトップ企業がエリアリンク(東証2部)。20年12月末で「ハロー」ブランドのストレージ9800室を運営している。前身のウェルズ技研が設立されたのは1995年。99年に、空き地に収納用コンテナを設置し賃貸する事業に着手した。相応の手ごたえがあったのだろう。

 2008年のリーマンショックで赤字を余儀なくされたのを契機に「不動産販売」中心からストレージ事業に、大きく舵を切った。そんなエリアリンクがいま、2度目の大きな戦略転換を図ろうとしている。果たして功を奏するのか。

 前12月期「23.4%の減収、24.9%の営業減益」に落ち込み「4円減配の31円配(配当性向30%を掲げる中、17.6%に低下)」を余儀なくされた。その背景は、こう指摘される。「開発したストレージを投資家へ売却する収益から、室内型土地付きストレージの自社投資出店・自社長期保有に大きく舵を切った。結果、従来型の収益の激減でストレージ事業は33.1%の減収・5.4%の営業減益となった」。

 また正確を期すと、オフィス事業の構造転換も大きく影響した。「貸会議室事業からの撤退。代わってサテライトオフィスへの注力」。オフィス事業に限ってみると、11%の減収・27.6%の営業減益となった。

 ストレージ事業の構造転換を、斯界を知るアナリストはこう説明する。「投資がストレージのメリットは出店コストの低減というメリットがあるが、賃料の計上で物件の損益分岐点が高まる。対して自社投資・出店型は一時の投資額という負担を背負うが、損益分岐点は下がる。儲けやすくなる」。

 功を奏するか否かの見極めには時間を要しようが、エリアリンクは今期を12.4%減収(197億円)も「9.8%の営業増益(25億円)、3円増配34円配(配当性向31.7%)」で立ち上がっている。

 最新号の四季報は【改善】の見出しで業績欄を記し、【新路線】と銘打ち材料欄を「木造3階建て40室規模の新ストレージを12月都内に初出店。主力商品に育成、全国で年50棟超の展開をめざす」としている。広報担当者に確認の意味から問い合わせた。「間違いないか」と。返ってきた答えは「年50棟の展開は、先々を見据えた方向」だったが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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