政府が推薦する銘柄!? 「攻めのIT経営銘柄」が「DX銘柄」に変わったワケ 後編

2021年4月13日 16:59

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 2012年12月より始まったアベノミクスは大規模な金融緩和からスタートしており、株高が圧倒的に進むことになった。しかし、株高の恩恵を得た企業は自己資本が積みあがっているにも関わらず、設備投資や研究開発に対して後手だったのである。これも日本人の「貯蓄」文化なのであろうか。

【前回は】政府が推薦する銘柄!? 「攻めのIT経営銘柄」が「DX銘柄」に変わったワケ 前編

 金融緩和の恩恵が広まらないことに、財務省や経済産業省あたりはヤキモキしていたに違いない。そしてついに、2015年より、東京証券取引所と経済産業省が共同で「攻めのIT経営銘柄」を選定するようになったというわけだ。

 「攻めのIT経営銘柄」の選定基準は、デジタル化が業務効率化やコスト削減のような「守り」に利用されるのではなく、デジタル化が新規事業立ち上げなどの「攻め」に利用されており、ROE(自己資本利益率)のスコアが一定基準以上であることが条件だ。

 つまり、設備投資や研究開発費などのコストがかかる新規事業の立ち上げに積極的で、積みあがった自己資本を回転させて利益を出そうとする企業を担ぎ上げることで、他の企業が追随することに期待したのだろう。

 そもそも、攻めのIT経営「事例」としてではなく、東京証券取引所と組んで攻めのIT「銘柄」と名付けているところに、妙味がある。銘柄に選定されるためにはROEのスコアが一定基準以上である必要があるとはいえ、端的にいえば「投資に推薦できる銘柄」を政府が選定しているとも取れるだろう。

 しかし、ここまでお膳立てをしたにも関わらず「攻めのIT経営(つまりはDX)」に取り組む企業が乏しかったのだろうか、2018年9月に出された「DXレポート」は一転して、攻めのIT経営に失敗した場合のホラーストーリーを展開したという流れだ。

 このレポートによって、DXに真摯に取り組む企業が増えたといえるが、2020年3月のコロナ禍からは経済の先行きが不透明となり、幸か不幸か、デジタルシフトせざるを得ない企業が多くなったことからも、DXという言葉はさらに広まっていった。そして「攻めのIT経営銘柄」は、2020年より「DX銘柄」として公開されるようになったのである。

 DXへの取り組みは、国内企業が生き残る上で必要不可欠であることは、コロナ禍の前でも後でも変わりはないが、アベノミクスで企業が潤っていたとはいえ、コロナ禍によって状況は一変している。

 国内企業がコロナ禍でさほど傷まなかったのは、アベノミクスの恩恵を内部留保として蓄えていたからであるという主張もあるなか、「攻めのIT経営」であるDXの取り組みが今後どこまで進むかについては、甚だ疑問である。

 さて、肝心な「DX銘柄」の騰落率はどのようになっているのだろうか?日本国内には世界最大の機関投資家と呼ばれているGPIF(年金を運用する独立行政法人)があり、日本銀行がETFを購入し続けて株価を下支えしていることもある。一定の忖度が働いているかどうか、次回以降、検証していきたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

関連キーワードアベノミクス財務省GPIF経済産業省内部留保

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