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130億光年の彼方にある最も遠方のクエーサーを発見 米国立電波天文台
ビッグバンからわずか6億7000万年後のクエーサーJ0313–1806 (c) NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva[写真拡大]
アメリカ国立電波天文台は12日、130億光年の彼方にある最も遠方のクエーサーを発見したと発表した。この天体はJ0313-1806と名付けられ、宇宙誕生からわずか6億7千万年後に誕生したクエーサーであり、宇宙誕生初期の巨大銀河や超大質量ブラックホールの誕生過程を解明するため、様々な情報が得られると期待されている。
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クエーサーとは地球から非常に遠方にあり、極めて明るく輝く天体を指す。その距離の遠さゆえに光学望遠鏡では内部構造の観測ができず、恒星のように点状にしか見えないため、準星とも呼ばれている存在である。現在クエーサーは、非常に遠方にある活動銀河の核ではないかと考えられている。
また従来最も遠くのクエーサーは、2017年12月6日に発見されたULAS J1342+0928で、今回発見されたJ0313-1806はそれよりも2千万光年遠く、地球から最も遠い天体の新記録が更新されることとなった。
いっぽうで、宇宙はビッグバン以降膨張を続けているため、J0313-1806の観測上の距離は地球から130億光年だが、これは130億年前の距離であって、現在は地球から300億光年程離れた宇宙空間に存在しているということにも注意してほしい。こんな話を持ち出すと混乱するかもしれないが、宇宙が膨張していることは事実なので冷静になって正しい理解をして頂きたい。
クエーサーは、銀河の中心にある超大質量ブラックホールの強力な重力が、ブラックホールの周りで過熱した物質により形成されている軌道円盤を引き込むときに発生するもので、場合によってはクエーサーを取り巻く銀河よりも明るく輝いて見えるものもある。
J0313-1806は太陽の16億倍以上の巨大な質量をもつブラックホールを伴っており、従来観測されたブラックホールの最高質量記録の2倍に相当する。これほど大きなブラックホールが形成されるためには、従来のブラックホール生成理論では時間が圧倒的に不足しており、従来理論とは異なる全く新しい生成プロセスをたどったに違いないと科学者たちは考えている。
これまでの理論の1つは、非常に大きな恒星の超新星爆発によりブラックホールが形成されるという理論と、星の密集したクラスターが崩壊して巨大なブラックホールになるという理論があった。
なおJ0313-1806を取り巻く銀河は、我々の銀河系の実に200倍の速度で新しい恒星を誕生させ続けているという。つまりこの銀河は猛烈な速度で成長をしていることを意味するが、クエーサーを伴っているブラックホールが成長するにつれて、恒星の生成も止まり、やがては銀河の成長も止まるものと見られている。 (記事:cedar3・記事一覧を見る)
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