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宇宙初期に生まれた子宇宙が原始ブラックホールへと変貌か 東大が新理論提唱
初期宇宙で誕生する多数の子宇宙の想像図 (c)東京大学国際高等研究所[写真拡大]
宇宙に存在する物質のうち、約85%を占めるダークマター(暗黒物質)。正体の候補として原始ブラックホールが提唱されている。東京大学国際高等研究所(Kavli IPMU)は24日、宇宙初期に誕生した子宇宙が原始ブラックホールになったとする新理論を提唱したと発表した。
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■ダークマターの候補のひとつ「原始ブラックホール」
宇宙初期に誕生した原始ブラックホールについて、1967年にソビエト連邦(現ロシア)の物理学者であるヤーコフ・ゼルドビッチ、イゴール・ノビコフ、1971年に英国の物理学者であるスティーブン・ホーキングが独立に提唱している。
それによると、急激な加速膨張を伴う「インフレーション期」において、密度の「ゆらぎ」や宇宙の「泡」が衝突することで原始ブラックホールが誕生したとされる。これは、大質量星の重力崩壊によって誕生する通常のブラックホールとは全く異なる。
原始ブラックホールを想定すると、ブラックホールの連星の起源や、銀河の中心に存在すると考えられている超大質量ブラックホールの起源を説明できることから、その可能性について近年物理学者の注目を浴びているという。とくに、未だ正体が謎であるダークマターの候補としても原始ブラックホールが挙げられている。
■すばる望遠鏡の観測で新理論を検証可能
Kavli IPMUと米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究者らから構成される国際グループが、原始ブラックホールを調べるために注目したのは、初期宇宙の理論だ。初期宇宙の物質の分布は一様ではなく、密度ゆらぎがあったと考えられている。だがこうした密度ゆらぎは非常に小さいため、原始ブラックホールの形成は非常に稀だという。
研究グループはインフレーション期に多数の子宇宙が生成したとする理論に着目し、子宇宙が収縮することで原始ブラックホールが形成されたとする説を発表した。研究グループによると、ハワイ・マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(HSC)でも、原始ブラックホールを探す観測により同理論が検証可能であることも同時に示している。
研究の詳細は、米国物理学誌Physical Review Lettersに10月30日付でオンライン掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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