副業する人としない人 今後どこで差がつくか?

2020年11月27日 08:45

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 副業のメリットは、やはり収入が増えること。しかし長期的に見ると、それは副業の魅力の一部分でしかない。本記事では、副業と新しい働き方を関連させて、副業する人としない人でどこに差が出るのか紹介する。

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■政府主導の副業推進は新しい働き方に対応するため

 経済面で豊かになることは、副業を始める大きな動機だ。また、副業を通してスキルアップしたり、本業にはないやりがいを得られるのも魅力である。だが長期的視点で見れば、こうしたメリットが一部分でしかないことが分かってくる。

 9月、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表した。注目したいのは、その方向性である。人生100年時代が叫ばれる中、若い世代から自由に働き方を選択できる環境作りが目的だ。つまり、労働の流動性を高めるのである。

 1つの企業に勤めるだけでなく、自らの能力を幅広く発揮でき、それをスキルアップにも繋げることが可能になるのだ。またマクロ的視点では、都市部の人材を地方で活用できるチャンスにもなる。若者不足の地方にとって、副業人材は地方創生の助っ人としても大きな期待が寄せられているのだ。

 つまり長期的視点に立てば、政府による副業解禁とその促進には、新しい働き方への対応に備えるねらいがあると理解できる。それは、終身雇用時代の働き方が、本格的に旧態依然として過去のものになることも意味しているのだ。

■コロナ禍で副業ブームは加速している

 コロナ禍において、テレワークに触れたことも重なり、経済面の不安から副業ブームはさらに加速している。しかし、一方ではこの流れに逆行するようなデータも見られた。

 10月、マイナビは「働き方、副業・兼業に関するレポート(2020年)」を発表した。これによれば、副業・兼業を容認している企業は、全体の49.6%となっている。つまり、いまだ約半数の企業は従業員の副業に後ろ向きなのだ。その理由としては、ワークライフバランスへの不安などが挙げられる。

 このように、副業ブームにあっても、副業できる人は全体の約半数にとどまっている。一方で、政府主導の副業推進は行われており、今後も労働の流動性は高まっていくだろう。「新しい働き方」とは、終身雇用時代とは異なり、労働者自身がより独立した存在となることでもある。それは、個人事業主のイメージに近い。

 企業の名前や傘の下ではなく、個人でビジネスシーンを渡っていくことが求められる。副業をすれば、自ずとこうした働き方が身に付くので、”新しい働き方”にも適応しやすいのだ。だが、副業出来る人はまだ全体の約半数。ただでさえ格差社会が問題となっている中、この流れでは新しい働き方への適応でも大きな格差が生まれるのは必然だろう。

 副業で新しい働き方へ適応しておくことは、マインド転換の意味でも重要になってくる。長期的に見れば、経済面でも大きな差となって表れてくるはずだ。(記事:西島武・記事一覧を見る

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