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仮想通貨で副業 アービトラージとは?
仮想通貨の副業を検討している人の中には、「アービトラージ」という単語を目にしたことがある人もいるかもしれない。アービトラージは魅力的な投資手法だが、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握しておく必要がある。本記事では、仮想通貨のアービトラージについて紹介する。
【こちらも】仮想通貨で副業 アルトコインとは? ビットコインとの違いは?
■アービトラージとは?
アービトラージ(Arbitrage)、通称アビトラとは、異なる取引所間で発生する仮想通貨の価格差を利用し、利益を得る手法のことを指す。裁定取引とも呼ばれるこの投資法は、同一資産でありながら市場間で価格がズレる瞬間を狙って売買を行う。リスクを抑えつつ、収益を狙える点が大きなメリットだ。
特に仮想通貨は価格変動が激しく、取引所ごとに流動性や参加者が異なるため、価格差が生まれやすい傾向がある。こうした性質を利用したのが、アービトラージである。
アービトラージの基本的な流れは、次の通りだ。まず、複数の仮想通貨取引所で同一通貨(例:ビットコイン/BTC)の価格を比較し、価格の低い取引所で購入。その後、価格の高い取引所で売却する。
この一連の売買によって、両者の価格差が利益として発生する。例えば、A取引所で1BTCが500万円、B取引所で510万円で取引されていれば、10万円の差益が見込めるという計算だ。
この手法は、「単純アービトラージ」と呼ばれる代表的なものである。さらに発展的な手法として、同一取引所内の複数通貨間の価格差を活用する「トライアングルアービトラージ(裁定取引)」も存在する。こちらはやや複雑で、BTC->ETH->USDT->BTCのように3通貨間で循環する形で利益を得るような仕組みだ。
実際の取引では、送金時間や取引所の手数料、スリッページなどの要素によって利益が減少する可能性に注意が必要である。特に初心者の場合は、最初にシミュレーションや少額取引を通じて、手法とリスクの理解を深めるのがおすすめだ。
■儲からないケースや自動化には注意が必要
仮想通貨アービトラージは理論上、価格差から確実な利益を得られる手法だが、「儲からない」と言われるケースも存在する。その理由の一つは、取引所間の送金時間と手数料だ。
仮想通貨取引では、送金が完了するまでに価格差が縮小し、利益が消失することがある。またスプレッドやスリッページによって、想定より低い利益しか得られない場合もあるのだ。アービトラージの競争が激化すると、有利な価格差が発生しても短時間で消える可能性も高まる。
こうした課題を克服するために、専用のアプリやツールの活用が有効だ。代表的なものには、「Coingapp」や「Bitsgap」やなどがある。
これらは、複数の取引所の価格情報をリアルタイムで分析し、有利な取引チャンスを通知する機能を備えている。一部のアプリでは売買まで自動で行えるものもあり、初心者から上級者まで幅広く利用できるだろう。
さらに、プログラミングによりアービトラージを自動化することもできる。例えばPythonは、豊富なライブラリとAPI連携機能があり、取引所の情報取得から価格差の検出、売買の実行までを自動化可能だ。ただし、プログラミングやAPIの知識が必要なため、ある程度のITスキルが求めらる。そのため、全ての人におすすめできる手法ではない。
またアービトラージには、禁止行為に該当するリスクも存在する。取引所の利用規約によっては、APIを用いた高速売買やボットによる自動取引を制限している場合があるからだ。
そのため事前に規約を確認し、規制に反しない範囲での運用が重要である。資金洗浄対策や法規制の観点から、一部の国ではアービトラージに類する行為が制限されているケースもあるのだ。
アービトラージは魅力的な投資手法だが、成功のためには市場構造の理解と正確な情報、そして技術的な準備が必要である。短期的な利益に目を奪われず、リスク管理と規制遵守を重視した運用を心がけなければならないだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る)
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