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馬雲(ジャック・マー)氏の率直な物言いが、政府要人や銀行業界のお歴々、金融監督当局等の不興を買ったことが原因で、アントは「上場を遅らせる」と発表しているが、具体的に時期を明言できる人物は存在しない。何時上場すると言えないことは勿論で、上場を断念したわけではないから、取り敢えず「遅らせる」と表現した。
【前回は】アント上場延期の影響はアリババを経由して、ソフトバンクGに及ぶ? (上)
12日の米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)では、馬雲氏の発言に習主席が立腹して、延期の決定に至ったと報じられているから、多少の延期で終われば上々だ。
関係者によると、規制当局はアントの「花唄(Huabei)」などのオンライン融資サービスが(借り易す過ぎるため)、貧困層や若者の借金を膨らませたという認識を深め、国務院弁公庁は馬雲氏の発言に対する世論は否定的だと政治指導部に報告したという。馬雲氏の外堀が埋められてしまったかのように事態は進展している。
アントの上場が視界不良になれば、アリババは企業価値を拡大する大きなチャンスを失うことになる。事態の帰趨によっては、アリババの企業価値が棄損する恐れもないわけではない。
更に10日には、中国の国家市場監督管理総局が、「ネット企業の取引先に対する不当な圧力」の規制案を公表した。今までも巨大なネット企業が、取引先に不当な要求をしていることは報じられていた。国家機関が連携してアリババ包囲網を形成しつつあれば、規制案が揉まれて正式案が形成されるまで、アントが上場を再考する時期は到来しないだろう。
保有するアリババ株の含み益で、数々の困難を乗り切ってきたソフトバンクグループ(SBG)にとっては、悪夢のようなものだ。いくらタフな孫正義会長にとっても、国家が相手では「注視する」しかない。
アントの上場延期が報じられて、アリババの株価は10%近く下落した。
SBGは今までアリババ株を売り渋っていたが、担保に入れることは匂わせてきた。現在担保に供されているのか、担保になっているとすればどの程度の株数なのか、肝心なところは不明だが、もし担保になっていた場合、アリババ株の下落の程度によっては追加担保を要求される可能性はある。
数兆円程度の含み益の増減には「頓着しない」と公言している孫会長のことだから、余計な心配かも知れないが、「蟻の一穴天下の破れ」という警句もある。どんなに巨大な組織でも、些細なことが致命傷になるという意味だ。蟻を英語で「アント」ということと、上場が延期となったのが「アント」だということに関連はないはずだが・・・(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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