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三菱・スペースジェットはどこへ?「画期的な造り方技術」の裏付けを・・
「スペースジェット」(画像: 三菱航空機の発表資料より)[写真拡大]
■結果は「運」だけではない
三菱・スペースジェット(旧MRJ)事業計画が、事実上凍結になると報じられている。新型コロナウイルスによるパンデミックの恐ろしさが、社会全般に徐々に浸透している。それでも「GoToトラベル」などが実施され、旅行需要が少し戻ったように感じているであろうか?だがANA(全日本空輸)が資金繰りに窮し始めている。JAL(日本航空)の方が、ましのようだ。しかしこの差には意味がないし、「運」であるレベルだ。
【こちらも】三菱重工が「スペースジェット」の事業化を凍結 国産ジェット旅客機はどうなる?
スペースジェット事業計画の事実上の凍結は、「運」の問題では済まされない。「型式証明」を取れずに計画延期をせざるを得なかった、経営方針の見直しが必要だ。1兆円余りの「投資を捨てるのか?」、「投資として活かすのか?」それが問題だ。
■生産技術の裏付けがない
ふり返って、日本が1960年代から1980年代まで続けてきた経済成長は、製造業、とりわけ自動車産業や家電産業など製造業の功績中心と見て良いのだろう。その背景は、「トヨタかんばん方式」によるところが大きい。
60年ほど前からトヨタで発想がなされ、自動車産業のみならずキヤノンやソニーなど家電産業にも普及し、郵便局の立て直しにも寄与し、さらに全世界の製造業で採用され、「産業革命」と言えるレベルで展開されてきた。
「トヨタかんばん方式」の資金効率の良さが、「ロット生産方式」に比較して数倍から最高1千倍とも推察されるほど高いことが、金融政策を超えて日本の高度経済成長を支え、国際競争力を持つことになった原因であろう。しかし、世界に広がった方式となった今、当時の優位性を保つことが出来ない。
トヨタは現在、新型コロナウイルス感染拡大による急激な需要の落ち込みに対応する能力の高さが証明されているが、不思議なことに「トヨタかんばん方式」、つまり現在の「TNGA(Toyota New Global Architecture)」の優位性を認める認識が広がっていない。目には見えない「概念」については、一般に認識されにくいのであろう。
■ボーイング・ジャンボ成功の基礎
「三菱・スペースジェット事業計画」は、「トヨタかんばん方式」ほどの優位性を持つことは出来ていない。製品として性能の高さはある。だが、ボーイングがジャンボジェットを開発した当時、『設計変更管理技術』により、短期間に開発してロッキード・C-5の民間旅客機型開発を抑え込んだような、パワーある基礎技術を持ってはいない。
あの当時、私の同期の「飛行機設計技師の卵たち」は、アメリカ・ボーイング社に出向していった。彼らの存在は、スペースジェット事業計画に活かされていなかったのであろうか。
■「画期的な造り方技術」の裏付けを・・
こうして、自動車や航空機開発競争の裏側には、「画期的な造り方技術」があることを認識してほしいものだ。すると、「三菱・スペースジェット事業計画」は今後どうすれば良いのか?の方向性が見えてくるはずだ。是非もなく、「技術の灯」を消さないでほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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