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理研ら、「マグネター」を新たに発見 宇宙で最も強い磁場を持つ天体
「マグネター」と磁力線の想像図(画像:理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]
理化学研究所(理研)は10日、3月に報告された新天体「Swift J1818.0-1607」が、中性子星の一種で宇宙でもっとも強い磁場をもつ天体「マグネター」であることを突き止めたと発表した。マグネターはこれまで20天体ほどしか発見されていない。
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■特殊な中性子星
太陽の10倍以上の質量をもつ大質量星は、超新星爆発を起こしたのち、ブラックホールや中性子星へと変化する。中性子星は太陽の約1.4倍の質量をもつ物質が半径12キロメートルに凝縮した高密度の天体で、そのなかでも強い磁場をもつのがマグネターだ。マグネターの表面磁場は100億~1000億テスラにも及ぶ。地球の地磁気は50マイクロテスラ程度であり、太陽の黒点でも0.1テスラ程度である。
中性子星は、これまで銀河系を中心に2,800個発見されているのに対し、マグネターは20個しか見つかっていない。中性子星の特徴はさまざまで、どういった物理的要因で決定されるかやどう進化するかについては、天文学上の問題の1つである。
■電波バーストの特徴をあわせもつ特殊なマグネター
理研、京都大学、イスタンブール大学、青山学院大学の研究者らから構成されるグループは、米航空宇宙局(NASA)が運営するスウィフト衛星に搭載されたガンマ線バースト検出器が、3月12日に捉えたSwift J1818.0-1607に着目した。
国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されたX線望遠鏡NICERで、バーストが検出され4時間後から追観測を開始。その結果、表面磁場の強さが270億テスラのマグネターであることを突き止めた。これまで発見されたマグネターのなかで、もっとも自転が速いという。
Swift J1818.0-1607はまた、電波パルスを出すマグネターであることが判明した。多くの中性子星は高速回転により電波パルスを放つ「電波パルサー」として検出されるが、電波パルサーの特徴をあわせもつものは珍しい。
自転周期が急激に変化する「グリッチ」と呼ばれる現象も、この天体から検出されている。研究グループによると、こうしたさまざまな特徴をあわせもったマグネターは、中性子星の進化を理解する上で役立つだろうとしている。
研究の詳細は、天体物理学誌Astrophysical Journalに7日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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