安心・安全・効率的な保育園インフラの創造

2020年9月22日 07:58

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「ルクミーバス位置情報」の画面イメージ。(画像: ユニファの発表資料より)

「ルクミーバス位置情報」の画面イメージ。(画像: ユニファの発表資料より)[写真拡大]

 DINKS夫婦を否定するつもりはない。人それぞれの生き方である。だがその一方で少子高齢化の進捗・女性の社会進出促進の観点から「男性の子育て協力」が唱えられている。「男性の育休」は夫人の出産当日から満1歳の誕生日までと定められ、その間の収入は「育休入りから6カ月間はそれまでの約67%」「以降は約50%」とされている。が、育休の取得は「なかなか進まない」という指摘が強い。

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 日経が選定する「NEXTユニコーン」の1社に、ユニファがある。2013年に土岐泰之氏により創業された。土岐氏は大学の同窓生と結婚し、大手商社に就職。夫人は愛知県の大手自動車会社に職を求めた。子供が生まれた。夫婦離れ離れの子育て。話し合った。土岐氏は「女房が“私が東京に移って・・・”という一口が出るのを待っていた節も正直あった」と振り返っている。

 だが話し合いは噛み合わなかった。土岐氏の中には次第に「自分にとって一番大事なのは家族だ。幼少の子供を安心して任せられる(保育)施設を創り上げることも大事な仕事ではないか」という想いが強まっていった。

 退職。起業したのがユニファだった。「保護者への安心感」「保育士の業務効率化・負担軽減」を図る施策の展開である。ユニファが開発したアプリやシステムを活かした保育の「安全・安心かつ合理的」創造だった。機器・システムは、自ら保育園を回り、説得・売り込みを図った。

 「ちょっぴり、“なんで男性が”という園側の疑問の目も当初感じた。だがいまではエリアの園長会にも声をかけてもらえるようになった」という。例えば、こんなシステム/機器だ。

★ルクミー午睡チェック: 昼食後に園児は薄暗くした部屋で午睡をとる。保育士は「うつ伏せになっていないか」「体動が停止していないか」を目視と合わせダブルチェックする。異常があれば即刻アラートで伝えられる。機器は園児の肌着に簡単に取り付けられる。

★ルクミー体温計: 非接触型体温計。数秒で園児の体温を測り、アプリを介しデバイスに送信され保育士の共有が可能。

 いずれも「医療機器」認証の届け出が行われている。また・・・

★ルクミーフォト: 保育士がデバイスで園児たちの写真を撮る。自動的にアプリにアップロードされ、保護者はその日の我が子の様子が確認できる。購入も可能。

★ルクミーバス位置情報: 親は出勤前に我が子を園に送り出し退社後に迎える。時間との勝負。送迎バスの現在地を、アプリをダウンロードしたスマホで確認できる。

 ルクミー午睡チェックは16年に「IoT推進ラボ」(経産省主催)でグランプリを受賞している。時代に即応したビジネスといえよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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