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合体を繰り返すブラックホール 検出した重力波から判明 米大学
ブラックホールが合体する想像図 (c) N. Fischer, H. Pfeiffer, A. Buonanno (Max Planck Institute for Gravitational Physics), Simulating eXtreme Spacetimes (SXS) Collaboration.[写真拡大]
2015年の初検出以降、重力波が不定期的に見つかっている。米メリーランド大学は2日、最近検出された重力波のひとつは、ブラックホールの合体が原因だったと発表した。
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■重力波の原因となる巨大天体
重力波は、独物理学者アルベルト・アインシュタインが提唱した一般相対性理論によって導かれる存在だ。重力によって時空の歪みが生じるとする一般相対性理論は、質量の大きな天体の運動により、時空の歪みが光速で伝わることを予言する。これが重力波であり、その検出は、国立天文台が運営する大型低温重力波望遠鏡KAGRAなどによって観測が続けられている。
米ルイジアナ州リビングストンにある重力波検出器LIGOは、2019年5月21日に、重力波「GW190521」を検出した。メリーランド大学の研究者らから構成されるグループは、検出した重力波が合併中のブラックホールによるものだと突き止めた。一方のブラックホールは、これまで確認されたブラックホールの衝突よりも1.5倍以上の質量をもつ。このため、大きい方のブラックホールもまた、かつて別のブラックホール同士が合体した可能性があるという。
■ブラックホールの質量上限の謎
太陽の8倍以上の質量をもつ恒星は、終末期になると超新星爆発を起こす。一部の恒星は「中性子星」と呼ばれる高密度の天体だけが残るが、質量の上限を超えるとブラックホールが誕生する。
超新星爆発により直接誕生したブラックホールに対し、銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在する。こうした巨大なブラックホールがどのように誕生したかは諸説ある。太陽の65~135倍の質量をもつブラックホールが、恒星の超新星爆発によって直接誕生する上限だと考えられているのが、その一因だ。
今回確認された大きい方のブラックホールは、太陽の約85倍の質量をもつ。このため、大きい方のブラックホールが合体により誕生したと、研究グループは推察している。
■重力波が明らかにする新たな天体物理学
GW190521は、これまでに経験したことのない規模の重力波だ。重力波の検出は、一般相対性理論を検証する機会を与えるが、今回の事例は、従来予言されていたこととまったく一致しているという。
重力波は定期的に検出されているが、一部は顕著な特徴を示す。研究グループでは、これらが今後、天体の「物理」について知りうるものを拡張するだろうと、述べている。
研究の詳細は、Physical Review Letters誌やAstrophysical Journal Letters誌に2日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)
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