NYの視点:米製造業はV字型回復、金融・財政支援は依然必要

2020年9月2日 07:35

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記事提供元:フィスコ


*07:35JST NYの視点:米製造業はV字型回復、金融・財政支援は依然必要
民間マークイットが発表した8月製造業PMI改定値は53.1と、予想外に速報値53.6から下方修正も2019年1月来で最高を記録した。輸出が4年間で最大に拡大し新規受注の強い伸びにつながったことが全体指数を押し上げた。IHSマークイットのエコノミストは8月の製造業の一段の回復は第2四半期の大きな落ち込みから第3四半期に生産が強く回復していることを示唆していると楽観的な見通しを示している。新規受注の大幅な回復した結果、稼働能力の欠如から、需要を満たすための生産が追い付かない状況。入荷遅延は2019年初旬の水準となっている。ただ、大企業での回復は力強い一方で、小規模企業の受注は引き続き鈍化しており、不均衡な回復が指摘されている。

また、全米の製造業活動を判断する上で注目される米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM製造業景況指数は56.0と、7月54.2から予想以上に上昇し2018年11月来の高水準となった。3月から5月にかけて50割れとなり活動が縮小したのち、3カ月連続で50を回復し、活動が拡大した。重要項目である新規受注は67.6と、7月の61.5からさらに上昇し、2004年1月来で最高を記録。仕入れ価格も上昇、世界経済の回復に伴い輸出や輸入も改善基調にある。顧客在庫は過剰に低い水準で、今後の受注が増加する可能性を示唆している。一方で唯一、雇用は弱く、44.4と、13カ月連続で50を割り込み活動は縮小したまま。ウイルス後の経済は雇用体系も大きく変わる可能性があり、より効率化されることにより今までのような人員が必要ではなくなる可能性が懸念される。

8月の強い製造業の結果も、政府の追加パンデミック救済策が途絶えたため、勢いが再び鈍化してしまう可能性も除外できない。また、まだらな回復で、財政や金融の大規模支援は依然必要。米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は1日の会合で、今後数か月のうちにフォワードガイダンスを利用し、追加金融支援を供給すべきだとの考えを示した。

■米8月ISM製造業景況指数
PMI:56.0(7月54.2)
新規受注:67.6(61.5)
生産:63.3(62.1)
雇用:46.4(44.3)

入荷遅延:58.2(55.8)
在庫:44.4(47.0)
顧客在庫:38.1(41.6)
仕入れ価格:59.5(53.2)
受注残:54.6(51.8)
輸出:53.3(50.4)
輸入:55.6(53.1)《CS》

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