ヘッジファンドの45日ルールは相場の動きを掴む手がかりとなるのか?

2020年8月23日 08:06

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 俗にいうヘッジファンドとは、主に富裕層などから資金を募り、多様な金融商品に分散させながら、高い運用収益を目指すファンドそのもの、もしくは、ヘッジファンドの運用会社を指す。そんなヘッジファンドは、比較的短期の投機的な取引を行うことから投機筋にも分類されるが、その莫大な資金力によって、相場の流れを一変させるほどの大きな力を持っていることは間違いない。

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 つまり、そんなヘッジファンドの動きを予想することができれば、我々が投資運用をする際の大きな手がかりとなるはずだが、当然ながら、彼らの動きを予想するのは容易いことではない。しかし、「45日ルール」によって、ヘッジファンドの動きを予測することができるというのだ。

 そんな「45日ルール」とは、「ヘッジファンドの顧客がファンドを解約するためには、決算日の45日前までに解約を申し込まなければならない」という通知期限に関するルールである。投資家から解約を求められれば、ヘッジファンドは当然のことながら換金作業を行うことになる。つまり、ヘッジファンドが運用している何らかの金融商品の換金作業が、相場の方向感を変えるというものである。

 ヘッジファンドの決算については、四半期を考慮すれば3月末、6月末、9月末、12月末であるが、そこから45日遡ってみると、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬になる。つまり、このあたりから、45日間については、ヘッジファンドの換金作業が行われるため、相場の方向感が変わりやすいといわれているのだ。

 俗に「セルインメイ(5月に売れ)」という格言が生まれたのも、決算が集中しやすい6月末と12月末から遡っての「45日ルール」が影響しているという一説もあり、未だに有効な手がかりだといわれる一方で、現在は「45日ルール」自体が陳腐化しつつあるという実態もある。なぜなら、解約通知期限を45日とするヘッジファンドが少なくなってきているからだ。

 もっとも、「45日ルール」の時期の相場転換はヘッジファンドの換金作業による影響ではなく、このルールの存在を過大評価した市場心理によるものだとすれば、あながち間違いではないのかもしれない。いずれにせよ、2月中旬、5月中旬、8月中旬、11月中旬からの相場の転換には注視すべきであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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