ソニー、事業ポートフォリオ再構築とグループ経営強化でコロナ危機に対応

2020年8月12日 06:32

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 ソニーは8月5日、東京大学およびJAXAと、「宇宙感動体験事業」の創出に向けて、共同開発・技術実証契約を締結したと発表した。人工衛星にソニーのカメラシステムを搭載し、地上からリアルタイムで遠隔操作することにより、宇宙空間の映像をリアルに届けることを目指す。

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 ソニーは1946年、井深大と盛田昭夫によって、東京通信工業として創業された。1950年には日本初のテープレコーダー、1955年には日本初のトランジスタラジオを発売し、ロゴを「SONY」として米国への輸出を開始。1958年に現在の「ソニー株式会社」へ商号変更した。

 2020年3月期の売上高は8兆2,599億円。事業別の構成比は、テレビやオーディオ、カメラ、モバイルコミュニケーションなどのエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業が24.1%、ゲーム&ネットワークサービス事業が23.9%。以下、金融事業が15.8%、イメージング&センシング・ソリューション事業が13.0%、映画事業が12.3%、音楽事業が10.3%、全社調整その他が0.6%を占めるソニーの動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績

 前期実績は売上高が8兆2,599億円(前年比5.5%減)、営業利益は前年よりも488億円減の8,455億円(同5.5%減)であった。

 営業利益は、前年度EMI社の持分約60%を取得して連結子会社化し再評価益1,169億円計上した反動で、音楽が901億円の減益。ゲームソフトウエアの減収や前年よりも円高(1ドル110.9円->108.7円、1ユーロ128.5円->120.8円)による為替差損などで、ゲーム&ネットワークサービスが727億円の減益。株式相場の下落や金利の低下などによりソニー生命、ソニー銀行の不振で、金融が319億円の減益であった。

 一方、イメージングセンサーの大幅な増収によりイメージング&センシング・ソリューションが917億円、スパイダーマンなどが好調だった映画が136億円、モバイルコミュニケーションの好調でエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューションが108億円、全社調整その他が299億円の増益となった。

■今期(2021年3月期)見通しと推進戦略

 今期第1四半期(4-6月)実績は、売上高1兆9,689億円(前年同期比2.2%増)、営業利益2,284億円(同1.1%減)となった。

 今期は各事業分野で、新型コロナウイルス感染拡大による幅広い影響に対応し、売上高8兆3,000億円(前年比0.5%増)、営業利益6,200億円(同26.7%減)を目指して、次の戦略を推進する。

●1.事業ポートフォリオ再構築

 ・コンテンツビジネス、消費者直結サービス、CMOSイメージセンサーなどで人を軸として事業ポートフォリオを再構築。

●2.グループ経営の強化

 ・2020年4月から「ソニーグループ株式会社」体制を発足、グループ一体としての事業ポートフォリオ構築、価値創出体制の強化。

 ・株式の65%を保有するソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化により、経営力を強化。

●3.事業別の推進策

 ・ゲームでは、次世代ゲーム機PS5のリアルなゲーム体験追求。

 ・映画、ゲーム、テレビ番組、アニメ、音楽の相互展開。

 ・エレクトロニクスでは、「リアリティ」「リアルタイム」に加え、コロナ危機に対応した「リモートソリューション」の強化。

 ・AIセンシングのソリューションで、マイクロソフトとの協業。

 新型コロナウイルスの影響に対応する今期のソニーの業績推移に注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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