三菱H-IIAロケット42号機打ち上げ成功 (1) 衛星はUAEの火星探査機「HOPE」

2020年7月29日 19:40

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 7月20日午前6時58分、鹿児島県・種子島宇宙センターからH-IIAロケット42号機で打ち上げられた。搭載していたのは、アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」だ。日本の海外受注4件目となる衛星打ち上げ受注だ。この衛星は火星探査を目的として、約7カ月かけて火星の周回軌道に入ることを目指している。

【こちらも】H-IIAロケットがUAEの火星探査機「HOPE」の打ち上げに成功

 「HOPE」は、中東初の火星探査機である。高解像度の観測カメラ、紫外線と赤外線の観測装置を搭載し、大気分析や気候観測、そして酸素や水素が失われていく過程などを観測する。UAEからの受注としては、2016年にH-IIAロケット40号機で打ち上げた観測衛星「ハリーファサット」以来、2機目である。受注はもちろん、三菱重工だ。スペースジェット(旧MRJ)の計画縮小など暗い話題が多い中で、ロケット開発は順調であるようだ。

 糸川英夫教授が率いた東大生産技術研究所の「ペンシル・ロケット」を知っているだろうか?本当に「ペンシル」と呼ぶにふさわしい、小さな「模型ロケット」と言えるものだった。1955年に発射実験が行われている。これは水平発射実験であったようだ。

ようやく日本でテレビ放送が始まった頃のことで、確かニュースだけでなく、テレビ番組でこの実験が公開され、一瞬で水平目標としておかれた「砂」に突っ込んでいたのを覚えている。まるで、警察が行うピストルやライフルの弾道検査のようであった。

 この実験映像に刺激された筆者は、模型のロケットエンジンを親父に買ってもらい、バルサ材(世界一軽い木材)で小さなフリーフライトの模型飛行機を作った。アルミの小さな筒に蓋をし、その蓋に小さな噴射口が空いていただけの、エンジンとは名ばかりの模型のロケットエンジンを模型飛行機の背中に載せた。

 火薬をペレット状にし、爆発するのではなく順次燃焼するように加工した固形燃料を入れ、蓋をして噴射口から導火線を刺して火をつけるだけの発射準備だった。紙飛行機と比較したら大して飛んではいないが、フリーフライトなので当時のペンシル・ロケットよりは距離では飛んでいた。もちろん速度では比較しようもなかった。

 それから糸川教授らはカッパ・ロケットを開発し、その後人工衛星打ち上げに挑むまでになっていった。しかし、糸川教授は「科学者の良心」を掲げ、ロケット開発をあくまでも「平和利用に限る」ことを目指し、姿勢制御装置の搭載を拒んだ。現在、ホリエモンが目指すロケットには当然、この姿勢制御装置が付いている。

 現在の北朝鮮のICBM(大陸間弾道弾)開発に見られるように、人工衛星打ち上げロケットは、直ちにICBMに転用できるぐらい技術的には近く、その要の技術が姿勢制御装置なのだ。言い換えると、H2ロケットはICBMとなり得る存在であるのだ。

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