トヨタSUVラインアップ完成 新型ハリアー (2) 新装備「デジタルインナーミラー」の功罪

2020年7月29日 07:29

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デジタルインナーミラー(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

デジタルインナーミラー(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]

 トヨタ・新型ハリアーは、RAV4に比べ、エクステリアデザインやインテリアデザインから見ても「都会派の高級セダン」の市場を狙っている。そのため、RAV4がオフロード性能に重きを置いていた理由がはっきりした。トヨタらしいMR(マーケットリサーチ)を踏まえた販売戦略が元になっているのであろう。ダイハツのOEMであるライズから始まり、SUVラインナップが戦略的に進められてきたことを確認できた。

【前回は】トヨタSUVラインナップ完成 新型ハリアー (1) 完成度の高いTNGAパワーユニット

 今回の新型ハリアーの装備は充実しているのだが、運転支援装置、繋がる装備などは当然となってきており、問題が見当たらない。その中で1つだけ、「問題意識」として取り上げたい装置が「液晶バックミラー」だ。これは、後部に取り付けたカメラによる映像をバックミラーの位置で再生するシステムだが、これは便利で、「防犯」にも役立つ仕組みのようだ。

 問題というのは、液晶のバックミラーを含めて、視認する距離感について遠方から近距離に切り替えることが困難ということだ。「なんのことだ?」と感じる若者がいるかと思うが、老人にとって「前方の遠方視認」から「近距離のバックミラーの視認」に切り替えることは、かなりきついことなのだ。

これまでの鏡のバックミラーによる視認距離は、反射して遠方に焦点を合わせるため、前方から後方に切り替えるだけなので問題はない。しかし、液晶バックミラーとなると近距離視認となるため、焦点を合わせるのに時間がかかる老人には難しいのだ。

 ベテランドライバーほど、バックミラーを確認する頻度は多くなる。それが運転の名手の証だが、それが容易に出来ないとなると「加齢による事故の危険」が増してしまう。

 老人は視野角も狭くなっているため、本来最も良いのは「フェンダーミラー」だ。昔の日本車は法令によりフェンダーミラーとなっていたのだが、輸入車がドアミラーとしており、当時の我々若者中心に「かっこいい!」となって、日本車もドアミラーとなったのだ。しかし、これは余り合理的な変更ではなかったと今でも考えている。

 フェンダーミラーはドアミラーと比較すると、視認のために首を左右に振らなくても使えるため、「死角」が少なかった。今でもタクシーにフェンダーミラーが多い理由だ。特に、左ハンドルで高速に流入するときなどはドアミラーでは危険性が高かった。

 アメリカは広々とした道路環境であり、右のドアミラーを装備しない車両もあったぐらいだ。当時の日本の輸入車にはアメリカ車が多かった事情などで、「日本車もドアミラーに」との要望が広がったのだ。日本で左ハンドル車を運転するには、現在でも運転支援装置で警告してもらわないと死角が気になる状況だ。

 老人からの要望としては、こればかりはスタイルより安全性でフェンダーミラーを選択できるようにメーカーに望みたい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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