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8億年前に多数形成された月のクレーター 地球での大絶滅も説明か 阪大の研究
7月21日にイギリスのNature communications誌で公開された大阪大学の研究論文において、月周回衛星「かぐや」に搭載されたテレインカメラ(TC)を使用し、直径20kmを超える59個の月面クレーターが形成された年代を調査したところ、それらのうちの8個が同じ年代に形成されたことが世界で初めて明らかにされた。
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かぐやはJAXAにより2007年9月14日に打ち上げられた月周回衛星で、それによってもたらされた数々の月面の鮮明な映像が、我々日本人の印象に深く刻みこまれているおなじみの存在だ。
8個の巨大クレーターが同年代に形成されたことが意味することは、直径およそ100kmの小惑星がその巨大クレーターが形成された年代に何らかの原因によって破壊され、その破片が月だけでなく、我々の地球にも多数飛来した歴史的な事件が存在したという事実である。
8個のクレーターの形成年代は今から8億年前であり、地球にも直径10kmを超える大隕石が飛来した可能性が高いのだという。この時代は白亜紀の大量絶滅が起きており、大隕石襲来が引き金になった可能性がより確実なものとなった。
実はこの年代の世界各地の地層では、イリジウムの濃縮層が発見されている。イリジウムは地表では極端に少ない(0.000003 ppm)元素で、通常は宇宙から飛来する塵によって地表に蓄積されてゆくのだが、蓄積される速度は極めて遅い。
だが、イリジウムの濃縮層が各地で発見された事実は、イリジウム濃度の高い、つまり地球には存在しない物体が宇宙から飛来し、何らかの理由で世界各地にばらまかれたことを意味している。
地球上でおよそ8億年前に形成された地層の多くにイリジウムの濃縮層が存在している事実と、今回大阪大学の研究者によってもたらされた8個の巨大クレーターの形成年代が8億年前であったという事実により、地上で起きた生命大絶滅が、小惑星の破壊に起因する大隕石飛来によるものであった可能性をゆるぎないものとしたのだ。
8億年前に直径10kmの大隕石が地球に飛来したことが事実なのであれば、その痕跡を示す直径100kmクラスの巨大クレーターが地球に存在していてもおかしくないはずだが、それは素人の発想である。なぜならば地球では8億年もの歳月で巨大クレーターは簡単に浸食され、跡形もなくなってしまうからだ。そこで浸食作用がない月面に目を向けたことが、大阪大学の研究者たちの賢明な視点であったのだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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