ECBによるTLTRO3はコロナショックに対応できるか

2020年7月3日 17:07

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●TLTRO3で史上最大の供給額

 ECB(欧州中央銀行)はTLTRO3(条件付き長期資金供給オペ第3弾)の第4回入札結果を発表し、資金供給額1兆3084億ユーロとなり、オペ1回としては過去最大の供給額を記録した。

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 4月30日の政策理事会では、TLTRO3の金利を最大マイナス1%に下げ、新型コロナウイルスの感染拡大による長期経済停滞に対抗するため、新しい資金供給策であるPELTRO(パンデミック緊急長期資金供給オペ)の導入も発表された。

●TLTRO3とは?

 LTRO(36カ月長期流動性供給)は、銀行に低水準の固定金利で期間4年間の資金を貸しだす、長期供給オペレーションにより実体経済に資金供給を促す施策だ。ドラギ前ECB総裁の時に行われ、2011年12月22日に4892億ユーロ、2012年3月1日に5295億ユーロ、2回合計で計1兆187億ユーロを供給した。

 この迅速で大胆な金融政策は、“ドラギバズーカ”と称賛され、リーマンショックの影響を受けて陥った欧州債務危機のゲームチェンジャーと言われた。

 このドラギバズーカのLTROの約半分は、リーマンショック直後に発行された金融債の償還にあてられたとされており、このLTROが無ければさらなる危機に陥っていた可能性が高いと言われている。

 TLTROは、無制限で担保要件の緩いLTROに条件を付けたもので、2014年にTLTRO1、2016年にTLTRO2を実施している。

 TLTRO3は、2019年9月から景気対策の一環として行われている。実施回数は2019年9月から2021年3月まで合計7回となっている。

●TLTRO3の効果は?

 昨年9月からの実施以来、市中銀行からの申し出は多くなかった。3月のコロナショックによる世界同時株安で、4月30日の理事会で適用金利が引き下げられ、さらに緩和された。

 リファイナンスオペ金利(0%)+マイナス0.5%に設定され、お金を借りれば0.5%金融機関が金利を受け取れて、貸出基準をクリアすれば1.0%の金利がもらえる仕組みとなっている。

 日本でもたびたび叫ばれているマイナス金利の副作用が心配される。

 ユーロ圏はリーマンショック以降、アメリカとは対照的に利上げをせず、超低金利状態が続いていた。銀行は利ざやを稼げず収益悪化に陥り、欧州最強だったはずのドイツ銀行でさえも、マイナス金利が経営に大きな打撃を与えた。

 新型コロナウイルス再拡大の懸念もあり、経済活動がどこまで回復できるかも不透明な中、TELTRO3の効果は限定的になる可能性もある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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