古河電工、重点事業の強化とグローバル市場での拡販により成長を目指す

2020年6月29日 18:27

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 古河電気工業は6月22日、量子暗号通信網の構築において重点課題となっている量子中継技術の開発について、総務省が進める開発プロジェクトに、大学や他社の研究機関など11者と共に参画すると発表した。

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 量子暗号通信により、今後原理的に絶対安全な通信が可能となることで、金融や医療機関、企業、政府などの重要な情報のやり取りに用いられる用途での活用が期待される。

 古河電工は1884年、古河市兵衛が創業した古河鉱業のグループとして東京に開設された本所溶銅所と、山田与七によって横浜に開設された山田電線製造所が始まりである。

 1906年に古河鉱業系の日光電気精銅所が開設され、1920年にこれら3社が合併して古河電工となり、「メタル」「ポリマー」「フォトニクス」「高周波」4つの技術を中核として事業を展開してきた。

 2020年3月期の売上高は9,144億円。事業別の構成比は、ワイヤーハーネスや自動車用機能製品、自動車・産業用電池などの自動車部品・電池事業が26.9%、銅線・アルミ線や電子部品用加工製品、特殊金属材料などの電装エレクトロニクス材料事業が26.3%。

 以下、光ファイバ、光ファイバ・ケーブルや光関連部品などの情報通信ソリューション事業が17.4%、ケーブル管路材や電子部品などの機能製品事業が12,1%、エネルギーインフラ事業が12.0%、物流や不動産賃貸などのサービス・開発事業が5.9%を占める古河電工の動きを見ていこう。

■前期(2020年3月期)実績、今期見通しは非開示

 前期実績は売上高が9,144億円(前年比7.8%減)、営業利益は前年よりも173億円減の236億円(同42.3%減)であった。

 営業利益減少の要因としては、欧州、アジアでの光ファイバ価格下落、研究開発費、償却費が増加した情報通信ソリューションが82億円、火災による銅箔の減収と工場復旧費用の増加で機能製品が61億円。また世界的な自動車販売減と研究開発費、償却費増により自動車部品・電池が26億円、景気減速によるエレクトロニクスの需要減で電装エレクトロニクス材料が21億円、サービス・開発と全社調整で8億円の減益となった。

 一方、電力事業が黒字化し、前年度工事損失を計上した反動でエネルギーインフラが25億円の増益であった。

 今期見通しは、新型コロナウイルスの影響を合理的に算定することが困難なため、現時点では未定とし、可能となった段階で速やかに開示するとしている。

■中期経営計画(2017年3月期~2021年3月期)による推進戦略

 ゆるぎない成長の実現を目指して次の戦略を推進する。

●1.重点事業の強化と新事業への進出

 ・情報通信ソリューションは、5G(超高速、大容量、低遅延、多数端末同時接続)への対応強化。
 ・エネルギーインフラは、国内で超高圧地中線などの系統線整備、アジアなどの海外海底線対応強化。
 ・自動車は、コネクティッド、自動運転化、電動化などへの対応強化。
 ・新事業進出は、素材力とレーザー加工技術の融合によりファイバレーザーを事業化し、電気自動車の需要拡大に貢献。

●2.グローバル市場での拡販

 ・ワイヤーハーネス事業は、世界最適地生産のもとサプライチェーンネットワークを強化。
 ・タイ子会社を東南アジア事業の統括とする体制整備。

●3.低採算事業の改善

 ・銅管事業を他社へ6月に譲渡。巻線事業を新設の合弁会社に10月に譲渡予定。

 素材力を核として、技術革新により持続可能な社会へ貢献することを目指す古河電工の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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