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オリンパス、3Qは業務効率化が奏功し販管費減で大幅増益 2023年3月期に営業利益率20%を目指す
ハイライト
境康氏:オリンパスの境です。ご多忙のなか、オリンパス株式会社2020年3⽉期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
それではさっそく、決算概況についてご説明申し上げます。スライドは今回の決算における主なポイントです。
第3四半期の累計実績は、医療分野を中⼼に好調に推移しました。売上高は、為替を除く実質ベースで6パーセントの増収となりました。
営業利益は第3四半期累計として過去最高となる785億円を計上するなど、各段階利益で大幅な増益を達成しております。販管費は、前年同期比で262億円減少しました。
その結果、販管費率は49.8パーセントとなり、前年同期で5.7ポイント減少と大幅に改善いたしました。
これは現在取り組んでおります全社的な効率改善のプログラム、Transform Olympusにより、従業員のマインドが着実に変化していることの現れだと考えています。
セグメント別で見ますと、医療分野は高い売上成長が継続している中国が牽引し、第3四半期累計、第3四半期単独ともに過去最高の売上高および営業利益を計上しました。
科学事業も、過去最高の営業利益を更新しております。
通期業績見通しにつきましては、第3四半期までの進捗を踏まえて、売上高および営業利益を上方修正しております。それでは、第3四半期の決算概況について詳しくご説明申し上げます。
2020年3月期 第3四半期実績①連結業績概況
連結業績の概況となります。第3四半期累計の連結売上高は、医療分野、科学事業が堅調に推移し、前年同期比で2パーセント増収の5,951億円となりました。為替を除く実質ベースでは、6パーセントの増収となり、大きく売上を伸ばしております。
営業利益は、売上を伸ばしているなかでも、販管費の全社的な効率化が順調に進捗していることや、一時費用の減少により⼤幅な増益を達成し、過去最高を更新しました。当期利益は、営業利益が⼤幅な増益となった結果、591億円となっております。
2020年3月期 第3四半期実績②セグメント別概況
各セグメントの概況です。次以降で詳しくご説明したいと思います。
2020年3月期 第3四半期実績③内視鏡事業
まず内視鏡事業です。内視鏡事業を⼒強く牽引している中国に加え、政府主導のがん予防プロジェクトが進⾏するロシアなど、海外が好調に推移し、売上高は前年同期比4パーセント増の3,151億円となりました。
為替を除く実質ベースでは、第3四半期累計では8パーセントの増収。第3四半期だけ見ますと10パーセント成⻑と、高い売上成長を実現しております。
営業利益は、増収と販管費の効率化により、前年同期比39パーセント増の916億円、営業利益率は29.1パーセントとなりました。
前年同期の米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用97億円を加味しても、前年同期比21パーセント増となる⼤幅な増益を達成しております。
2020年3月期 第3四半期実績③内視鏡事業
治療機器事業でございます。各地域のニーズを捉えた製品を拡販している消化器関連処置具や軟性鏡の販売が好調に推移している泌尿器科など、全領域において売上を拡⼤しました。
売上高は、前年同期比2パーセント増の1,636億円となりました。為替を除く実質ベースでは、6パーセントの成⻑を実現しております。
営業利益は、増収を主な要因として、前年同期比9パーセント増の225億円、営業利益率は13.8パーセントとなりました。
高い成長が続く中国市場
近年2桁成長が続き、医療分野の成長を大きく牽引している中国市場について詳しくご説明いたします。
当社は約50年前から中国市場に進出し、現地の医師との信頼関係を構築しながら、ビジネスを展開してきました。
2012年3月期と比較しますと、2019年3月期は中国市場の売上は約3.5倍、医療分野に占める割合も約2倍となり、今や医療分野の約12パーセントの売上を占めております。
中国は成長ドライバーとして、医療分野の⾶躍を⽀えていることがおわかりいただけると思います。次のスライドで、これまでの目覚ましい成長の背景、そして、今後のポテンシャルについてご説明いたします。
中国市場が好調な要因
中国では病院の等級によって医療水準に開きがあり、大病院、すなわち3級病院に患者さんが集中する傾向があります。近年この状況を解消することを目的として、さまざまな施策が展開されてきました。
まず、2011年に中国国務院が「衛生事業発展第12次5ヶ年計画」を発表し、末端の医療衛生機関の標準化を進め、県級医院等の医療水準を向上させることを目指しました。
2016年には国民の健康を改善するための戦略として「健康中国2030」、「衛生事業発展第13次5ヶ年計画」が発表され、予防医療を強化する方針が打ち出されました。
特定の地域におけるがんの早期診断率に加え、がんの5年⽣存率を改善するため、早期診断、早期治療を推進しています。
また、2019年に発表された「県級病院総合能⼒レベルアップ計画」があります。500の県級病院と500の中医病院を3級病院、または3級中医病院と同等の医療⽔準に引き上げることを⽬指す⽅針です。
国家レベルでの予防医療強化の流れに合わせ、2級病院においても新たに予算が付与され、病院の新設や設備投資が積極的に⾏われるようになり、当社の医療分野、特に内視鏡事業の高い成⻑につながっております。
1972年、⽇中国交正常化の年に初めて中国で当社の胃カメラが使⽤されて以来、当社は他社に先駆けて中国での事業基盤を強化してきました。
今後も、⻑年に渡って培った信頼関係を⽣かし、トレーニングを通じた内視鏡医の育成サポートや病院・学会との連携を積極的に⾏っていくことで医療分野のさらなる成⻑を実現していきたいと考えております。
なお、⾜元では新型肺炎の事業活動への影響が想定されますが、政策を追い⾵とした内視鏡医療に対する需要拡⼤の流れに変わりはなく、⻑期的な成⻑機会を着実に捉えていきたいと考えております。
2020年3月期 第3四半期実績⑤科学事業
続きまして、科学事業でございます。売上高は前年同期比5パーセント増の766億円、営業利益は前年同期比62パーセント増の80億円と⼤幅な増益となりました。
⽣物顕微鏡は全地域で好調に推移し、産業製品は⼯業⽤内視鏡や⾮破壊検査機器等が売上を伸ばしたことにより、増収となりました。
また、営業利益は増収および販管費の効率的なコントロールにより、第3四半期および累計ともに過去最高となりました。
2020年3月期 第3四半期実績⑤映像事業
映像事業の売上高は前年同期比9パーセント減の347億円、営業損益は74億円の営業損失となりました。厳しい事業環境等に加え、上期は⽣産拠点再編の影響により新製品の導⼊がなかったため、減収となりました。
前年同期に計上した⽣産拠点の再編に伴う費⽤が今期は発⽣していないことや販管費の効率化等により、損失は縮⼩したものの、残念ながら想定どおりの損益改善には⾄りませんでした。
しかしながら、第3四半期だけで見ますと、ミラーレス⼀眼の新製品効果により、6パーセントの増収となり、粗利増に伴い損益も改善しております。カメラの市場縮⼩等、厳しい事業環境は継続していますが、新製品の拡販と販管費の適切なコントロールにより、収益性の改善を図っていきます。
財政状態計算書
2019年12⽉末の財政状態です。国際会計基準の新リース基準(IFRS第16号)を適⽤した影響により、資産、負債ともに増加しています。
また、棚卸資産が142億円増加しましたが、これは主に期末に向けた戦略在庫の構築によるものです。資本は、2019年8⽉に実施した⾃⼰株式の取得により前期末から減少し、3,973億円となりました。
これにより、⾃⼰資本比率は前期末比で7.2ポイント減少し、40.1パーセントとなっております。
連結キャッシュフロー計算書
キャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローは、医療分野を中⼼とした営業利益の創出により、前期比692億円増加の1,057億円となりました。
投資キャッシュ・フローは、医療分野のデモ・ローナー品等の有形固定資産取得による⽀出等により、450億円のマイナスとなりました。以上により、フリー・キャッシュ・フローは607億円のプラスを確保しております。
財務キャッシュ・フローは、2019年12⽉に社債等を発⾏しましたが、⾃⼰株式の取得や借⼊⾦の返済等により、290億円のマイナスとなりました。
今後も、多様な資⾦調達⼿段を活⽤し、医療分野を中⼼とした成⻑投資等を優先的に実施してまいります。
通期見通し ①連結業績
2020年3⽉期の見通しにつきましては、今回、十二指腸内視鏡の市場対応を⾏うための費用約100億円を織り込みましたが、第3四半期までの実績を踏まえて、売上高および営業利益を上⽅修正しております。
⼗⼆指腸内視鏡の市場対応につきましては、後ほど改めてご説明いたします。為替レートは、第3四半期の実績と直近の為替動向を反映し、通期で1ドル109円、1ユーロ121円を想定しております。
配当は期初の配当予想を据え置き、2020年3⽉期の年間配当として、引き続き1株当たり2.5円増配の10円を予定しております。
通期見通し ②セグメント別業績
セグメント別の業績見通しです。内視鏡事業、治療機器事業、科学事業は、第3四半期までの進捗を踏まえて、上⽅修正しております。
映像事業は、厳しい事業環境等を考慮し、売上高、営業利益ともに下⽅修正しております。
全社消去は、Transform Olympusに伴う先⾏投資を織り込み、修正しております。
十二指腸内視鏡の市場対応
先ほど申し上げました、当社の⼗⼆指腸内視鏡に関する市場対応についてご説明いたします。
⼗⼆指腸内視鏡につきましては、⾏政から医療機関へ感染対策に関する注意勧告がなされ、当社も医療機器メーカーとしてさまざまな取り組みを⾏っております。
先端キャップ着脱式の⼗⼆指腸内視鏡は、⽇本と欧州等ではすでに導⼊済みですが、2020年1⽉、⽶国においても、FDAより510(k)の認可を取得しました。
これまでの⼗⼆指腸内視鏡についても、洗浄性や安全性の確認を⾏ってきておりますが、先端キャップ固定式の対象製品を⾃主的に置き換え、洗浄・消毒作業のより簡便な実施をサポートする先端キャップ着脱式の新型⼗⼆指腸内視鏡の、早期普及を促進してまいります。
次世代消化器内視鏡システム
投資家のみなさまからの関⼼が高い、次世代消化器内視鏡システムについてご説明いたします。
すでに経営戦略で機能等をお伝えしておりますが、今回のモデルは、画質や操作性等の基本性能の向上を図ることに加え、高い医療価値と高い効率性、経済性の両⽴を狙った全く新しい独⾃技術を数多く搭載しています。
内視鏡医療における新たなスタンダードとなる期待の戦略製品です。今後、規制当局より承認が得られた市場から早期の市場導⼊を進めてまいります。
2020年度第3四半期は、上期に引き続き過去最高となる営業利益を計上する等、順調な進捗となりました。
2020年度の残り2ヶ月も全社⼀丸となって、本日お示しした通期の業績見通しの達成に向けて取り組み、経営戦略で掲げた⽬標である2023年3月期の営業利益率20パーセントの達成につなげてまいりたいと思います。
私からの説明は以上でございます。
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