未発見だった中規模ブラックホール ハッブル宇宙望遠鏡が証拠を捉える 

2020年4月6日 12:19

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中規模ブラックホールの証拠と思われる天体 (c) NASA, ESA, and STScI

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 銀河の中心にある大規模ブラックホールが撮影されたことは記憶に新しい。大規模と小規模のブラックホールはこれまで特定されたが、存在するはずの中間サイズのブラックホールは未発見のままだ。中規模ブラックホールの証拠がハッブル宇宙望遠鏡によって捉えられたことが、公式サイトにて発表されている。

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■ブラックホールの進化プロセス

 大質量星が自らの質量に耐えきれなくなり重力崩壊すると、ブラックホールが誕生する。物質や光を吸収するため、ブラックホールは可視光で確認できない。そのため、長らくアインシュタインによる宇宙方程式から導かれる理論的存在だった。だが天体から放射されたX線などから、存在を示す状況証拠が発見されている。

 他方、2019年に撮影されたM87銀河の中心に位置するブラックホールのような、大規模ブラックホールが誕生したプロセスは謎のままだ。小規模のブラックホールが衝突することで中規模ブラックホールが誕生し、さらに合体することで大規模ブラックホールが誕生するというシナリオが有力だと考えられている。だが中規模のブラックホールは未発見のままだ。

■数十万の候補から絞り込まれた

 中規模ブラックホールを発見するためには、星の崩壊や物質の吸収の「瞬間」を捉える必要がある。数十万もの観測から中規模ブラックホールの候補が探索されている。2009年にも候補となる天体の証拠が発見されているが、若い星団の中心に位置したため、現在では大規模ブラックホールだと考えられている。

 米ニューハンプシャー大学の研究者らから構成されるグループは、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)が運営するX線望遠鏡などで捉えられたデータを追確認するため、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた。

 研究グループが注目したのは、X線を放つ天体 3XMM J215022.4-055108だ。太陽の約5万倍の質量をもつこの天体は銀河の中心に存在しないため、大規模ブラックホールではない。また恒星の超新星爆発後に残る中性子星もまた強力なX線を放射するが、天の川銀河内に孤立する箇所からではなく、別銀河中の星団から放射されたことがハッブル宇宙望遠鏡により確認されている。そのため、この天体が中規模のブラックホールの候補だと考えられるという。

 中規模のブラックホールにはまだ多くの謎が残る。誕生するために必要な星団の密度や、その形成プロセス、中規模から大規模ブラックホールへと進化するプロセスなどだ。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journal Lettersにて3月31日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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