【スイング生産どころではない新型コロナ感染(2/2)】1千万人の雇用が危ない

2020年3月30日 17:23

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 新型コロナウイルス感染拡大は、人類に対する自然界からの警告と受け止めねばならないのであろう。森林などを伐採し自然界に深く入り込んでいく人類は、地球温暖化など取り返しのつかない自然破壊を進めてきている。そうした人間の進出に対して、これは自然界における人類の数を調整する動きかもしれない。

【前回は】【スイング生産どころではない新型コロナ感染(1/2)】トヨタ「1兆円の融資枠」申し入れ

 現在、自動車産業は燃費規制などに取り組んではいるが、「地球温暖化」は待ったなしの状況であると見える。それでもなおかつ「高性能車」「豪華仕様車」などを造り続けており、本来は「1トン未満」「燃費50km/L」などの規制をかけても良い状況なのかもしれない。

 またEVと言っても、結局火力発電を用いたのでは、温暖化を止めるには間に合わない状況と見ることが出来、自動車産業の根本的変革が必要なのだ。それが、新型コロナウイルス感染拡大によって、「トヨタ銀行」と言われてきたトヨタ自動車でさえ、「銀行借り入れ1兆円」を考えなければならない事態を迎えている。

 「ノアの箱舟」を連想すべき事態なのだろうか。

■統計から見ると「1千万人の雇用が危ない」

 東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、日本国内だけのデータでは、『自動車主要7社(トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、スズキ、マツダ、三菱自動車工業、SUBARU)』の1次、2次の取引先総数は2万6,937社(重複除く)、従業員合計946万2,788人、売上高合計756兆9,917億円となっている。

 「1次・2次取引先」だけでこの数であるので、3次下請けなどを含めた自動車産業全体では、従業員として1千万人以上、家族・縁者を合わせると3~4千万人以上が何らかの影響を受けることとなる。

 「1千万人の雇用が危ない」というのは大きい。国民の1/4~1/3人が影響受けることとなり、自動車産業のすそ野の広さが日本人の生活の基礎となっていることが改めて思い知らされる。さらに問題は、自動車産業に限らないとすると、可能性として日本国内だけでも「数千万人の雇用が危険」であると考えるべきであろう。

 トヨタ・ホンダ・スズキ・マツダは国内工場の操業調整をするようで、日産・スバルなどの動きは3月27日現在、鮮明ではない。

 ホンダは2輪部門もあるためだろうか、関係する企業の数がトヨタの3倍ほどもあり特徴的となっている。よって、ホンダはビジネスモデルの整理が必要であるようだ。一方、マツダは販社を絞り込んでいることが示されており、狙いが「プレミアム・メーカー」であることが鮮明だ。スバルは、データから「漫然と過去を引き継いでいる」感触がある。

 こうした状況下の「生産調整」においては、各社の実力が垣間見えることとなってしまう。日産は中国からの部品供給が滞り、生産停止に追い込まれるのが早かったが、このタイミングでの操業停止は出て来ない。トヨタ・マツダの操業停止は、新型コロナウイルスの感染拡大による販売不振で在庫調整、生産調整が行われるようだ。これはつまり、「在庫を持たない」ための処置である。これが出来る企業の方が「余力がある」と見るのが一般的だ。

 現在、トヨタが1兆円の融資枠を銀行に申し入れているが、VWなどは中央銀行に融資を希望しているようだ。通称「トヨタ銀行」と言われた事実上の無借金経営の「トヨタ自動車」も、借入金の方が流動資産を上回ってしまう事態を迎えるのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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