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宇宙でビッグバン以来となる観測史上最大の爆発 巨大ブラックホールが原因か
巨大爆発の痕跡。(c) X-ray: Chandra: NASA/CXC/NRL/S. Giacintucci, et al., XMM-Newton: ESA/XMM-Newton; Radio: NCRA/TIFR/GMRT; Infrared: 2MASS/UMass/IPAC-Caltech/NASA/NSF[写真拡大]
2月末、とんでもない爆発が宇宙で起きていたことが英国EXPRESS誌や米国CNNなどで報じられた。この爆発の規模は、ビッグバンの時以来のすさまじいもので、その規模は人類観測史上最大という。
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この爆発は地球からおよそ3億9千万光年かなたのへびつかい座銀河団の中心で起こったもので、それまでに観測された爆発の最高記録の約5倍にも達していた。しかもこれによって生じた爆発痕の規模は、私たちが属している銀河系宇宙が、15個も入るスケールだという。
銀河団とは宇宙で観測される最も大きな規模の構造体で、多くの暗黒物質や銀河によって構成されている存在である。銀河の質量は膨大なものであり、時間の経過とともにその大質量に起因した重力で、銀河同士が集まり、銀河団のような構造が形成されていくであろうことは、一般人にも想像はつく。このような大きな銀河団が形成されていくには、何十億年もの気の遠くなるような時間が必要となる。
だが、この広い宇宙にはこのような自然の成り行きともいえるプロセスで形成された銀河団だけでなく、ごく短時間に、まったく異なるプロセスで形成された銀河団も存在している(このような銀河団をハイペリオンと呼ぶ)。その意味では、銀河団についてのなぞはまだまだたくさん存在している。
今回の大爆発はこの巨大な銀河団の中心にある超大質量ブラックホールが発生源であると考えられているが、直近の電波による観測では、現在はすでに爆発は収まっているとのことである。この銀河団については、科学者たちはすでに2016年ごろから巨大な爆発痕の存在には気づいていたが、まさかこれが超大質量ブラックホールの仕業によってできたものだとは想像すらしていなかった。
ちなみに私たちの銀河系の直径は約10万6千光年もあるが、今回の大爆発によって銀河団内部に生じた大空洞の直径は、実に160万光年にも及ぶ。この大きさは、大マゼラン雲までの距離15万8千光年や、小マゼラン雲までの距離19万9千光年をはるかに超え、アンドロメダ座の大星雲までの距離254万光年にも届きそうな、とてつもないスケールのものだ。
しかしながら、我々人類のほとんどはこの宇宙で起きた大事件について、このようなニュースで報じられなければ、何事もなかったかのような平穏な日々を相変わらず送り続ける存在なのである。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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