楽天が打ち出した「送料無料」、「送料込み」に変更して公取委は納得するのか?

2020年2月20日 12:03

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 楽天の三木谷浩史会長兼社長が、自社の通販サイトである「楽天市場」で、3980円以上の商品を購入した顧客の配送料を無料にする(一部地域は除く)と、19年8月1日に表明した。楽天の意気込みは三木谷社長が「何が何でも成功させたい。店舗の成長につながれば政府、公取委と対峙しようとも遂行する」と発言していたことでも明らかだ。

【こちらも】楽天、8年ぶりに最終赤字 19年12月期 送料無料化は予定通り実施

 動機は通販で競合するアマゾンへの対抗である。アマゾンの配送料システムといえども全て無料で統一されている訳ではないが、有料のプライム会員になれば送料無料を選択できる商品が多くなる。一般の利用者の場合も、配送先によっては配送料が一律400円になったりする。配送料の全体感が楽天よりもシンプルな印象は否めない。

 楽天が「3980円以上の商品の送料を無料」と表示することに拘っていたとは言っても、配送業務を外部業者に委託する以上、誰かが配送料金を負担しなければならない。当初から楽天の本音は「商品価格に配送料金を上乗せした価格表示にしてくれれば、”配送料無料”という表示との整合性に問題はない」ということだった。

 個々の出店業者が、それぞれの商品価格に配送料金を加算した合計額を、新しい商品価格としてくれればこんなに揉めることはなかった、というのが三木谷社長の思いだろう。

 問題はメッセージを送る程度では、5万を超える出品業者の理解度を統一できないところにある。生真面目な出品業者もいるだろうし、今までの楽天市場との取引で「腹に一物」を抱えている業者だっているかも知れない。

 配送料を無料にする楽天の方針が、一部の出品業者を動かして公正取引委員会(公取委)に、独占禁止法違反の調査を求めた。

 楽天は配送料金を実質的に出品業者に負担させる今回の方針が、関係法令に違反していないかどうかを19年12月に公取委に相談し、「独占禁止法違反の恐れがある」との回答を受けていた。それでもなお強行突破を図ったが、公取委の立ち入り検査を受けるに及んで方針を転換した。

 「事前相談に”否”と答えたのに、何故突っ走る?」という思いを抱く公取委の心証は、相当悪いだろう。あのまま政府、公取委と対峙して、みすみす独占禁止法違反の烙印を押された場合、楽天に回復困難なダメージを与える可能性があった。

 5万社以上の出品業者を誇る「楽天市場」は、優越的地位の濫用を戒める独占禁止法上の「優越的地位」にあることは間違いない。問題は楽天が表示方法を「送料込み」とする方針転換を、公取委がどのように受け止めるかだ。

 間もなく、「送料込み」のシステムがスタートする3月18日が到来する。あまりに差し迫った時期まで判断が先送りされると、予期せぬトラブルの発生も懸念される。楽天の将来を左右する重い判断がどのように下されるのか、審判の日は近い。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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