送料無料化をめぐり揺れる楽天、公取委が立ち入り検査

2020年2月12日 17:57

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 楽天がオンライン市場の送料無料化をめぐって出店者側と対立し、揺れている。2月10日には公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査に踏み切った。楽天の三木谷浩史会長兼社長は11日のツイッターへの投稿で、「アマゾンに勝つため」と強気の姿勢は崩していない。

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 楽天市場の送料無料化方針は、2019年8月に開かれた楽天グループの「楽天市場 戦略共有会」で講演した三木谷社長が明らかにした。購入額の合計が3,980円(税込)以上の送料を無料にする方針で、出店者側は反発して「楽天ユニオン」を設立し対立の構図に突入した。

 その後、楽天は送料無料化の実施を20年3月18日からと決めたことに対し、ユニオンは多数の署名を集めて公取委に調査を求めた。公取委は出店者からの事情聴取を行い、ついに10日の楽天への立ち入り検査に発展した。

 楽天側は「法令上の問題はない。現時点では方針に変わりはない」と強気の姿勢を崩しておらず、三木谷社長はツイッターに「日本の地方の小売店が生き残る為にはアマゾンに勝たなくてはいけない。楽天は店舗さん達だけに負担のしわ寄せするつもりは全くなく、2,000億円物流に投資実行中」と持論を投稿している。

 楽天が送料無料化にこだわる最大の理由は、アマゾンの存在。アマゾンはAmazon.co.jpが発送する商品の場合、2,000円以上の注文の送料は無料で、プライム会員の場合は全商品の送料が無料。2,000円未満の商品も、送料は通常410~450円と地域差はあるものの一律。

 対する楽天はモールとして発展してきた経緯から、送料は出店者ごとに異なる方式。アマゾンでも、アマゾン以外の業者が出品するマーケットプレイスでは、出店者が独自に送料を設定しているが、アマゾンの物流網を利用すれば送料はアマゾンの出品と同じ扱いになる。

 巨大プラットフォーマー同士の対決が背景にある今回の騒動。公取委が「優越的地位の乱用」として排除措置命令などにまで踏み込むのかどうか、その判断が注目される。(記事:澄・記事一覧を見る

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