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はやぶさ2が持ち帰るサンプルに地球外生命体の期待 英科学者ら
リュウグウにタッチダウンするはやぶさ2のイメージ。(c) 池下章裕[写真拡大]
JAXAが小惑星リュウグウに送り込んだはやぶさ2が、今年12月に地球に帰還する予定だ。リュウグウから持ち帰ったサンプルから地球外生命体が発見されるだろうとの見通しを、英国の複数の科学者が述べていることが、1月8日の英国EXPRESS誌上で明らかにされた。
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はやぶさ2は、リュウグウの地表からサンプル採取するだけではなく、今回は内部からもサンプルを採取しているため、この内部サンプルに科学者たちは大きな期待をかけているのだ。
その理由は、表面サンプルが、宇宙空間に浮遊する星間物質の影響や太陽風の影響を受けて変質しているのに対して、内部サンプルはそれらの影響を受けておらず、太陽系が形成された当時のままの状態をタイムカプセルのように維持できているからである。
生命の起源については、地球にその起源を求める説と、宇宙に起源を求めるパンスペルミア説とがあり、最近は後者を支持する科学者が増えている。
というのも、フランシス・クリックという科学者が、生命に必須の微量元素はモリブデンだが、地球にはそれがほとんど存在せず、むしろ生命にあまり関係のないクロムやニッケルが多く存在していることから、生命はモリブデンが豊富な惑星で誕生した可能性が高いと主張したことによる。
太陽系が誕生した直後は、微惑星の衝突が頻繁に起こり、生命を含んだ岩が宇宙空間にまき散らされたことはおそらく確実であろうと、多くの科学者たちは考えている。はやぶさ2が持ち帰る予定のリュウグウ内部のサンプルには、生命の痕跡が見つかるはずだと主張する根拠はここにある。
科学者たちが期待している地球外生命体は極めて原始的な微生物であるが、原始的であるがゆえに別の期待もかかるのだ。
地球上では2億5千万年もの眠りについていた微生物が、生き返ったという記録もある。つまり、リュウグウから持ち帰ったサンプルの中に冬眠状態にある微生物が存在していれば、何十億年ぶりかに息を吹き返すという可能性もあるかもしれないのだ。
もしそのようなことが実現したとするならば、科学史に残る一大事件となることは間違いない。2020年はまだ始まったばかりだが、今から年末のはやぶさ2の帰還が楽しみでならない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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