NYの視点:今週の注目:中東情勢の行方、米12月雇用統計、ISM非製造業指数、11月貿易収支など

2020年1月6日 07:38

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記事提供元:フィスコ


*07:38JST NYの視点:今週の注目:中東情勢の行方、米12月雇用統計、ISM非製造業指数、11月貿易収支など
今週は引き続き中東情勢の行方に焦点が集まる。今後の展開次第では、連邦準備制度理事会(FRB)の景気見通しや金融政策に影響を与えかねない。米国政府が報復空爆でイランのソレイマニ司令官を殺害したことに対して、イランはさらなる報復を警告するなど、中東の緊張が高まっている。米国の主要都市では、警戒態勢が高まった。

引き続き原油や金の上昇が予想される。米国はソレイマニ司令官が「多くの米国市民を長期にわたり殺害してきた」としたほか、「さらなる殺害を計画していた」として報復攻撃を実行。トランプ大統領は今回の行動が戦争を開始する目的ではなく終わらせる目的だと説明した。さらに、イランの政権交代を模索するものではないとする一方、「必要な行動をとる準備もある」と加えた。警戒感から、当面、リスク回避の動きが継続する可能性もある。

経済指標では、米国の12月雇用統計や全米のサービス業動向を判断する11月ISM非製造業指数、米中貿易関税が続く中、11月貿易収支に注目が集まる。雇用統計でエコノミストの非農業部門雇用者数平均予想では前月比+16.2万人と、11月+26.6万人から鈍化するものの順調な伸びが維持されると見られている。失業率も3.5%と50年ぶりの低水準を維持し、強い労働市場が再確認される見込み。平均時給は前月比+0.3%と、11月+0.2%から伸びが拡大すると予想されている。また、トランプ大統領の断固とした貿易赤字是正措置が奏功し11月の貿易赤字は縮小する見込みで、予想通りとなると、10−12月期の国内総生産(GDP)成長を支援することになる。

米FRBが公表した12月10−11日開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では具体的に状況が大きく変化しない限り、成長が続いた場合、現行金利が適切だとの見解が表明された。ただ、多くのメンバーが引き続きリスクはいくらか下向きと見ていることも再確認され、2%目標を下回るインフレへの懸念が表明されており次回の行動が依然利上げよりも利下げに傾斜していることが示唆された。万が一、中東情勢の悪化が深刻化した場合、景気に影響を与え、見通しが修正され、2020年の追加利下げに繋がる可能性もある。現在のところ、ほとんどの高官が2020年1年間、政策金利が据え置かれると見ている。

英国の欧州連合(EU)離脱では議会がジョンソン首相の離脱案を承認する見通しとなっている。

■今週の主な注目イベント

●米国
5日:ウィリアムズ米NY連銀総裁が討論会参加。
6日:12月マークイットサービス業PMI改定値:予想52.2(11月52.2)
7日:11月製造業受注:予想前月比—0.7%(10月+0.3%)、
11月貿易収支:予想—437憶ドル(10月—472億ドル)、
11月ISM非製造業指数:予想54.5(11月53.9)
9日:クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長が講演、
ウィリアムズ米NY連銀総裁がBOEで将来のインフレ目標に関して協議
エバンス・シカゴ連銀総裁が経済の見通しに関して協議
10日:12月雇用統計:非農業部門雇用者数予想前月比+16.2万人(11月+26.6万人)、
失業率予想:3.5%(3.5%)、
平均時給:予想前月比+0.3%(11月+0.2%)、前年比+3.1%(+3.1%)

●中国
6日:12月財新サービス業PMI:予想53.2(11月:53.5)
9日:12月PPI:予想前年比—0.4%(11月—1.4%)、
12月CPI:予想+4.7%(11月+4.5%)

●英国
6日・英・12月サービス業PMI改定値(予想:49.1、速報値:49.0)
7日:英国議会、ジョンソン首相の離脱法案を協議

●ユーロ圏
6日:
・独・12月サービス業PMI改定値(予想:52.0、速報値:52.0)
・ユーロ圏・12月サービス業PMI改定値(予想:52.4、速報値:52.4)
・ユーロ圏・11月生産者物価指数(前年比予想:-1.7%、10月:-1.9%)

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
シリア
イエメン
香港《CS》

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