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カルロス・ゴーン被告が、弘中惇一郎弁護士と究極の絶縁! (上)
日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告が2019年12月31日、広報を担当しているフランス企業を通して驚愕の声明を発表した。
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「私はレバノンにいて、有罪が想定されて進行している日本の司法制度下の囚人ではない。日本では守るべき国際法や条約が軽んじられ、差別が当然のように行われ人権が侵害されている。私はそんな政治的迫害と不公正が横行する日本を離れた。日本での裁判から逃げ出したわけではなく、メディアと自由にやり取りできる立場を取り戻し、来週から活動を始める。」
まるで、植民地の迫害から逃れた救国の英雄が、母国の同志に対して贈る連帯のメッセージのようだ。
直前の12月30日に伝えられた近況では、保釈条件通りに都内の住宅で暮らし、ほとんど毎日弁護士事務所を訪問して、保釈条件の範囲内でパソコンを使用し、裁判記録を読む日々だと伝えられていた。もちろん、妻のキャロルさんとの面談に裁判所の許可が必要であることは十分承知しているといい、恐らく弁護士事務所からの取材を基にした”模範的な保釈生活”が公表されていた。
ゴーン被告が隠密裏に逃亡の準備を進めていたであうことは、31日に報道陣の取材に応じた弘中惇一郎弁護士が「寝耳に水の話で当惑している。事実ならば保釈条件違反だ」と語っていることからも、うかがい知れる。
ゴーン被告に課せられた主な保釈条件は(1)東京都内の事前に届け出た住宅に居住すること。(2)パスポートは弁護士に預け海外渡航は禁止。(3)事件関係者との接触禁止。(4)住宅に監視カメラを設置する。(5)携帯電話はネットとメール不可、通話先も限定。(6)弁護士事務所内のネット未接続パソコンのみ使用可、だった。
保釈条件を認めたのは東京地裁であっても、順守させるべき責任は弁護士事務所にある。30日に報道の求めに応じて、模範的な保釈生活を送っていると伝えた弁護士事務所は、果たして適切に責任を全うしていたと言えるのだろうか。
ゴーン被告と無罪請負人を自称する弘中惇一郎弁護士との間に、隙間風が吹いていたことは明らかだ。「ゴーン被告が弘中弁護団に募らせる、期待外れの不信感!」という19年5月付けの拙稿でも両者に漂う不穏な空気を伝えていた。
弘中弁護士は前任の大鶴基成弁護士が担当していたゴーン被告に、「無罪請負人」であると自分を売り込んで、弁護士の座を奪ったとされる。「無罪請負人」を雇った気になっているゴーン被告にとって、十重二十重の保釈条件を付されたこと自体が失望の始まりだった。
弘中弁護士を見限ったゴーン被告は、弁護士をも欺いて逃亡の準備を進めてきた。当然保釈条件に拘束されることもなく、思うがままに携帯電話やネットの利用を行って事件関係者(キャロル夫人含む)との接触を繰り返し、逃亡への段取りを練り上げて来た筈だ。”模範的な保釈生活”を伝えた12月30日の報道が空しい。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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