【系列は崩壊するのか?(2/6)】ハードからソフトへ EV化がCASEの戦場へ誘う

2019年12月31日 08:32

印刷

画像はイメージです。

画像はイメージです。[写真拡大]

■自動車産業は【燃費改善→EV化→CASEの重要度増す→ソフト開発偏重→サービス業へ】

 今、自動車業界で話題の言葉にCASEがある。CASEとは、「Connected、Autonomous、Shared、Electric」の頭文字を取ったものだ。現在の自動車の「コスト要因」を示しているとも言える。

【前回は】【系列は崩壊するのか?(1/6)】日本の生産性低下の衝撃:世界1位から15位に

 それぞれの言葉を見れば、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(カーシェアリング)、Electric(電気自動車)と、どれをとっても「ソフトウエア」に頼る技術だ。つまり、コストの構成要因にしめる「ソフト開発」が大幅に増えているのだ。「機械式メカニズム開発」も「制御ソフト」なしには考えられないメカニズムとなっている。

 すると、当然に人材もソフト開発技術者の比率が増えてくる。しかも、「ネット」の普及と「AI」の活用が同時期に進み、さらに地球温暖化防止方法としての「EV」化が、14億人の巨大市場である中国の産業政策とも絡んで、同時に進められようとしている。

 また内燃機関(エンジン)先進国である欧州のディーゼル機関開発が、日本のHV技術に後れを取ってしまったため、EV化に舵を切らざるを得ない状況である。しかし、発電エネルギーの問題を置き去りにして、「EVありき」で世界市場が動く情勢となっていることが気になる。必ずしも「地球温暖化防止」に有効な手段とは確定できない中で、EV開発は加速しているのだ。

 そのため、「CASEの必要性」よりも「EV化の進行」によって自動車産業は激変しようとしている。系列(下請け)体制を揺さぶる要因としては、EV化によるエンジン・ミッションなどの部品が必要なくなることでの衝撃が大きい。バッテリーの開発でモーター駆動の実用化が進むと、自動車産業そのものの構造が変化し、よりCASEでの競争となり、さらにソフト開発の産業となって行くだろう。

 現在の自動車産業の変化は、【燃費改善→EV化→CASEの重要度増す→ソフト開発偏重→サービス業へ】の流れにあると言える。

■忘れてはならない「生産技術」

 しかし、どれほどソフト開発の比重が大きくなろうとも、ソフトを容れる「安全」なハードを生産することへの軽視は許されないわけで、「製造技術・品質管理技術・生産技術」の重要度は変わらない。むしろ、「ソフトの品質保証が重要」になってくる。

 「制御プログラムと機械メカニズムとの親和性」は非常に重要となってくるだろう。現状の製品(自動車)には、この点に問題が潜んでいることが見えている。この問題点に対しては、さらに進歩した「品質管理技術」の開発が必須となると思われる。この点については別途記述する。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 【系列は崩壊するのか?(3/6)】下請け(系列)制度は日本独自のもの

関連キーワード

関連記事