科研製薬は20年3月期2Q累計が2桁営業・経常増益だが通期営業・経常減益予想据え置き

2019年11月29日 10:37

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 科研製薬<4521>(東1)は整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカーである。20年3月期第2四半期累計は研究開発費減少で2桁営業・経常増益だったが、下期に研究開発費が増加するため通期営業・経常減益予想を据え置いた。

■整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカー

 整形外科・皮膚科領域を主力とする医薬品メーカーで、農業薬品や飼料添加物、不動産賃貸(文京グリーンコート関連賃貸)なども展開している。

 20年3月期第2四半期累計の主要医薬品・医療機器の売上高(単体ベース)は、生化学工業<4548>からの仕入品である関節機能改善剤アルツが125億02百万円、日本初の外用爪白癬治療剤クレナフィンが121億99百万円、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルムが50億14百万円、創傷治癒促進剤のフィブラストスプレーが15億47百万円、高脂血症治療剤のリピディルが8億47百万円、ジェネリック医薬品合計が50億09百万円だった。

 歯周組織再生剤リグロスは18年3月期から国内販売本格化した。また18年8月には生化学工業が製造販売承認取得した腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコアの販売を開始した。

■開発パイプライン充実やクレナフィンのアジア展開を推進

 成長基盤整備として開発パイプラインの充実、外用爪白癬治療剤クレナフィンの海外導出を推進している。

 原発性腋窩多汗症を適応症とするBBI-4000(ブリッケル・バイオテック社から導入)は承認申請準備中、熱傷焼痂除去を適応症とするKMW-1(海外製品名NexoBrid、メディウンド社から導入)は第3相段階、ポスト・クレナフィンの位置付けで爪白癬症を適応症とする自社創薬のKP-607は第1相段階、アタマジラミ症を適応症とするKAR(海外での製品名Sklice、アーバー社から導入)は第1相段階である。

 また提携先が治験を実施している案件として、レナバサム(コーバス社から導入)はコーバス社が全身性強皮症を適応症として国際共同第3相試験を実施中、皮膚筋炎を適応症として国際共同第3相試験を実施中、尋常性乾癬を適応症とする自社創薬のKP-470は導出先のボシュヘルス社がカナダで治験実施中である。

 なおクレナフィンのアジア展開では、17年6月韓国で導出先の東亞STが販売開始、18年6月台湾で導出先の台田薬品(田辺三菱製薬の子会社)が承認取得、19年10月香港・マカオでの導出先メインライフ社(中国)が香港で承認取得した。また19年2月には中国AIM社と、中国における独占的ライセンス実施許諾および供給契約を締結している。

■20年3月期営業・経常減益予想据え置き

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比1.3%減の929億円、営業利益が9.3%減の223億円、経常利益が9.1%減の227億円、純利益が9.4%減の161億円としている。配当予想は19年3月期と同額の150円(第2四半期末75円、期末75円)である。

 医薬品輸出や特許料収入の減少で、全体として減収見込みである。主要医薬品の売上計画(単体)はアルツが0.3%増、クレナフィンが2.7%増、セプラフィルムが0.8%増、フィブラストスプレーが2.4%増、リピディルが20.8%減、ジェネリック医薬品が1.2%増としている。利益面は研究開発費の増加(3.3%増の106億円)や減価償却費の増加(11.5%増の24億円)などで営業・経常減益予想としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比4.9%減の451億70百万円、営業利益が11.2%増の137億44百万円、経常利益が11.1%増の139億29百万円、純利益が8.0%増の95億47百万円だった。

 主力のアルツ、クレナフィン、セプラフィルムの売上が前年並みを維持したが、海外売上や長期収載品売上が減少し、全体として減収だった。利益面では販管費の減少(研究開発費が41.6%減の33億34百万円)で2桁営業・経常増益だった。

 第2四半期累計は研究開発費減少で2桁営業・経常増益だったが、下期に研究開発費が増加するため通期の減収減益予想を据え置いた。

 中期経営計画では目標数値に21年度売上高945億円、営業利益250億円、ROE12%以上を掲げている。免疫系、神経系、感染症の3領域を柱として自社創薬基盤を拡充・融合し、開発パイプライン充実を推進する方針だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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