関連記事
日産はだれのもの? ルノー・日産・三菱アライアンスの主導権争い (2/2)
(c) 123rf[写真拡大]
現状、日産が「浮遊している」ように見えても、その実、日本政府が深く関与していることを日本人としては支持せずにはいられない。技術と人材をフランスに渡すことを、日本は避けなければならない。産業が停滞している日本としても、日産は貴重な企業であるからだ。
【前回は】日産はだれのもの? ルノー・日産・三菱アライアンスの主導権争い (1/2)
現在、日産をルノーの支配から守る手立ては、日本政府しかない。日産経営陣は、何もしなければルノーの全面的支配となる実力しかない。それではカルロス・ゴーンを追い出した意味がないだろう。彼がマクロン大統領の指示に従う姿勢を鮮明にしたことで、日本政府が動いたのだ。カルロス・ゴーン失脚後のストーリーを経産省の役人が描いていないはずはない。
このことは、マクロン大統領が日本国内の社員や日本人の心情を無視して、急いで政治的得点を挙げようとした結果だ。日本人としては、日産の雇用が日本国内に止まることを支持するしかない。日産は「浮遊している」のではなく「日本政府が駆っている」状態であり、それで良いのだ。
それにしても、現在は「企業の株主支配に疑問を持たない専門家」が増えている。株式配当が高額で、社員たちの給与が目減りしていても気にしていない経済専門家が多いが、日本の不景気はどうしたらよいのであろうか?もはやグローバル市場で企業が残っていければ、社員たちの未来は気にしないのであろうか?
しかし、「給料が上がらなければ経済も疲弊する」のは当たり前だ。社員たちは消費者であるのだから、経済は廻らない。
こうしてみると、ホンダの現状なども加味すれば、「グローバル経営」は良いことではないと感じる。トヨタが創業家支配の中で日本国内に根を張り、日本人の雇用に貢献し、単なる「投機」の感覚ではなく、社会的責任を踏まえた経営であることをありがたく感じてしまう。
一方、ホンダ創業者の本田宗一郎は「実力があるものが経営すればよい」と息子に世襲させなかった。先進的で公平な姿勢であると感じたものだったが、今となっては「世襲」してほしかった。
投資感覚の「国際経営者」の登用が進んできたが、今となっては決して日本国の産業育成の切り札ではないことも分かってきたはずだ。「日本はすでに先進国ではない」と言われている中、「日本はAI後進国」とソフトバンク・孫正義会長に言われてしまった。それでは孫正義会長が、日本国民の所得を増やすには何をせよと考えているのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
スポンサードリンク