プラッツに見る、医療・介護用ベッドのあるべき論

2019年11月1日 08:55

小

中

大

印刷

介護用ベッド「ミオレットIII」(画像: プラッツの発表資料より)

介護用ベッド「ミオレットIII」(画像: プラッツの発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 7月の入院時に「電動ベッド」を初めて体感した。背もたれの角度が自由に調整できる。足部の角度調整も可能。「楽ですね」と言うと主治医は「病院も競争の時代だから」とした。メーカーはプラッツ。医療・介護用電動ベッドの大手の一角と知り、調べてみた。

【こちらも】介護用ベッドのプラッツはアジア展開に注力中

 プラッツが電動ベッドに進出したのは1997年。介護保険法制定のタイミング(施行は2000年)。主軸機種として「ラフィオ」「ミオレットIII」がある。どんな特長を持っているのか。

 ラフィオは、床面高15cmという超低床介護ベッド。高齢者の移乗が容易。「頭部~背部」「腰部」の角度調整で床ズレを低減する。食事に際し背もたれを適当な角度にすることで、誤嚥の防止にもつながる等々。

 詳細は同社のホームページで確認して頂くとして、医療・介護用品に明るいアナリストは「プラッツの存在感を高めたのは、ミオレットシリーズ」として、こう言い及んだ。「高品質・高機能・低価格が、いわば社是。ミオレットもまさにそんな商品だった。それが介護保険の適応対象になり、販売を担うレンタル業者の人気を高めた」。

 プラッツの高品質・高機能には、開発をフォローする体制が整備されている点も注目に値する。例えば自らが大学時代の交通事故で車椅子生活を余儀なくされた、監修人の存在などに象徴的。元佐賀大学医学部元准教授:松尾清美氏(現、福祉環境研究所代表)。具体例を引くと、ベッドに備え付けられたグリップ(しっかり固定されていないと移乗時の転倒事故につながる)を、自動ロック式にした。など、微細な工夫が施されている。

 低価格にも、目利き力を覚える。従来の生産拠点は中国・台湾。だが12年8月の時点でベトナムに100%現地法人:プラッツベトナムを設立。そして今年8月には、電動ベッドの主要部品を製造していた持ち分法適用会社:ジェンバンメタル社に全出資額を譲渡。実質的な統合で「ベトナムを基軸にした生産の効率化」を図り、「企画・開発:プラッツ本社、生産はベトナム」という体制に移行している。

 前6月期の売上高構成比は「福祉用具流通市場78.8%、医療・高齢者施設市場15.9%、家具(ベッド周辺設備)流通市場2.5%、海外2.7%」。

 プラッツは今後の方針を「医療・高齢者施設市場、海外市場の拡充」としているが、直近のこんな施策にも方針推進策が認められる。IoT/AI開発のベンチャーファンドに出資した。先のアナリストは「ファンドの主体である介護業界の有力な老舗企業:ツクイとの関係強化、投資先ベンチャーとの効率的協業が狙い」と説明する。

 誤嚥防止に食事時に適宜な角度で物を口に運ぶのは、要介護老人に多いとされる「誤嚥性肺炎」の防止策になる。高齢化時代ベッドの在り様は、ポイントと言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード高齢者ベトナムIoT(Internet of Things)介護プラッツツクイ

関連記事

広告

財経アクセスランキング