3bizで小さく始める事業開発

2019年9月21日 15:28

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 「3biz」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?月3万円ビジネスを略した言葉で、栃木県那須町にある「非電化工房」代表の藤村靖之さんが生み出したものです(参照:晶文社発行「月3万円ビジネス」)。月3万円の利益で事業や会社が成り立つとは考えにくいかと思いますが、「小さく生んで大きく育てる」ことも「3biz」では可能なのです。

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 この「3biz」を理解し試してみることが、「生業作り、起業、新規事業」のヒントにも繋げられることをご紹介します。

■3bizとは

 電気を使わずに、自給的で自活的な生き方をしながら幸せに生きる力をつけることが学べる「非電化工房」。ここの代表の藤村靖之さんが提唱していることが「月3万円ビジネス」です。2011年に書籍も発行されています。

 月3万円ビジネスとは、

 1:極力コストをかけない(無借金。営業経費もかけない)
 2:ありもの、使ってないものを活用
 3:楽しいことをやる

 という要素で作った月に利益が3万円のサービスを指します。

■1:極力コストをかけない

 ゴールや予算が多いプロジェクトに関わったことはありますか?大人数でチームを組んで、会議やチームマネジメント、プロジェクトマネジメントを行うと、膨大な工数を割くこととなります。それで成功すれば良いですが、軌道修正が必要な際、多大なコストと工数が必要となりますし、損切りするには莫大なパワーが必要となります。

 一方で、「コストをかけない=スモールスタートで良い」となれば、プロトタイプでテストマーケティングすれば良いですし、リーンスタートアップでいう「MVP=Minimum Viable Product=実用に足る最小限の商品」で十分です。簡易なプロトタイプやMVPであれば、1~2人ですぐに試すことができ、反応が薄いならすぐに次の取り組みへ移行すれば良いのです。

 借金をしたり多大な広告費をかけても、「銀行や広告会社が儲かるだけで何も残らない」という悲しい結末になることもあります。「少人数・少コスト」で動けば身軽にいつでも方向転換できますし、予算規模が多いケースであれば「3bizを数多く打つこと」で成功率をあげられるメリットがあります。

■2-1:ありものを活用

 「ありもの」の中で、最大且つ最重要なものは「自分の中のリソース(スキルや経験)」になります。キングコングの西野亮廣さんの著書「魔法のコンパス」でも言われていることですが、「1万時間費やせばセミプロくらいにはなれる、1万時間費やしたものは100人に1人の資質になる。1万時間費やしたもの2つを掛け合わせれば、1万人に1人になれるし、3つを掛け合わせれば100万人に1人になれる。」

 この1万時間費やしたリソース、自分の中の「当たり前なスキルや経験=暗黙知」が、他者から見ての自分のバリューであることは明白です。
 
 そんな自分のリソースを掛け合わせたもので100万分の1のオンリーワンなサービスを生み出しても良いし、1万時間費やしたもので個別にサービス化して数多くテストしてみるのも良いですね。

■2-2:使ってないものを活用

 シェアリングエコノミーという言葉が市民権を得てきていますが、3bizの藤村さんは「使ってないものを活用」をかなり前から提唱されています。わかりやすいものが「空き家」や「空きスペース」ですし、シニアや職場復帰していないママの「潜在労働力」などがあります。

 私は空き家を軽く改修して、古民家民泊をしています。家具や送迎車、ウッドデッキなどは全て友人が使わなくなったものを頂いて宿運営に活用しています。建築家で「独立国家のつくりかた」の著者である坂口恭平さんは、都会の不用品を「都会の幸」と呼んで活用を呼びかけています。不要物のマッチングには、まだまだ隙間(=ビジネスチャンス)がありますね。

■3:楽しいことをやる

 最近の労働者の価値基準で「やりがい」という指標が重要視されてきています。金や地位を追い求めてストイックに競争していても、勝ち残れるのはほんの一握りです。

 金に執着するのでなく、「心からやりたいと思えること」「チャレンジしたいこと」「好きなジャンルや職種」などにこだわって、「仕事・趣味・社会活動」をそれぞれ切り離さずに行うと「やりがい」を感じやすくなります。

 「利益が少ないことなら誰でもできる、程度の低いこと」と決めつけてしまわずに心の声に素直に試してみると、イキイキした自分の姿に周りも呼応して、心地よい仲間に恵まれ、さらに生業を行うことが楽しくなるという、良い循環が生まれます。

■小さく始めるからハードルが低い

 埼玉県の草加市では、女性の創業支援の一環で、月3万円ビジネスの連続講座が行われました。講座受講中に実際にサービスをラウンチし経験を積んで、創業に活かしています。

 「コストかけず、ありものを使って、楽しいことで3万円の利益が生まれるサービスを作る」この手法ならハードルが高く感じることなく、試すことができます。3万円ビジネスを10個持って「複業」的な生き方をすることも良いですし、数多くラウンチして、大当たりを広げて大きな事業化(皆で分かち合う)することも良いでしょう。(記事:福島だいすけ・記事一覧を見る

著者プロフィール

福島 だいすけ

福島 だいすけ コミュニケーションデザイナー/半農ライター/古民家 宿 経営

埼玉県比企郡ときがわ町在住。吉本興業、名古屋テレビで、WEB・イベントを活用したファンマーケティング事業を担当。その後、東日本大震災を契機に医療業界へ転身し、病院や医療クライアントと患者を繋ぐメディアの立ち上げや編集に従事。

2016年独立。「表して、つなぐ」コミュニケーションデザイナーとして、自治体や地元企業の地域課題解決事業を、起業支援施設と連携して推進。2018年8月より古民家を改修してインバウンド向けの宿泊事業を開始。

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