関連記事
株価動向を読むうえで、中計も重要なポイント
投資は「自己責任」が大原則。株式投資、然りである。投資対象銘柄の絞り込みには、多面的な調査が不可欠。調査の一つに「中長期経営計画」の吟味がある。とりわけ実績派企業の収益が前期・今期予想が微妙な時などには、私はまず中計の読み込みから入る。
【こちらも】ファーストリ、ソフトバンクG株は、資産形成の対象になりうるか!?
最近で言うと、セイコーホールディングスがそうだった。2019年3月期は「7.9%の減収、13.3%の営業減益、19.9%の最終減益」となった。主たる要因は電子デバイス事業が連結対象の範囲から外れたことだった。売上高で212億円、営業利益で約50億円の減少につながった。
そして今期計画もミニマム化するとはいえ「影響」を引きずることから「3.1%の増収(2550億円)、1.1%の営業増益(95億円)、2.7%の最終増益(95億円)」で立ち上がった。中計を確認してみようと考えたのは決算資料で「主力のウォッチ事業やその他事業では売上・営業利益とも増収増益となり、全体の減収・減益幅を下支えした」と記されていたからである。
セイコーHDは5月16日に至22年3月期の第7次3カ年中期経営計画を発表している。「攻めの中計」と銘打たれた計画では、こんな目標数字が掲げられている。「売上高2850億円(19年3月期比約15%の増収)、営業利益142億円(同約50%増益)」。
業界に明るいアナリストに説明を求めた。「前期の第4四半期が電子デバイス事業の中国不振を中心に赤字に転落した。今後とも中国経済を巡る環境を甘く見ることはできない」としながら、「順調なGS(グランドセイコー)に軸足を置いたウォッチ事業強化の姿勢に基づいた中計」とした。GSの伸長を確認する為に、前期動向・前6次中計を振り返ってみた。こんな事実が確認できた。
★前期でみてもGSは米国の5000ドル~1万ドルの腕時計市場で、ベスト10入りを果たしている。
★前中計期間でGSの海外売上高は3倍の伸びを示している。
先のアナリストは、こうも付け加えた。「中計では初年度から減価償却費を上回る120億円の設備投資を打ち出している。GSを中軸にしたウォッチ事業の拡充策だ」。
ことここに及んで私は、東証上場のアイフィスジャパンが無料公開している、複数の業界担当アナリストによるセイコーHDの予想株価平均値(IFIS目標平均株価)に最後の拠り所を求めた。2780円。本稿作成中の時価は2200円台入口水準。
私は「銘柄紹介」の為に本稿を記しているわけではない。銘柄選択に当たり「中計」も大事な判断材料であることを訴えたいだけである。最後の断は、読者諸氏に委ねる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
スポンサードリンク