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ハッブル宇宙望遠鏡が銀河の中心にある超大型ブラックホールの謎に迫る
NASAが公開した画像。 (c) ESA/Hubble & NASA, L. Ho et al.[写真拡大]
NASAは2019年5月はじめに、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した渦巻銀河NGC2903の詳細画像を公開した。NGCとはNew General Catalogue of Nebulae and Clusters of Starsの略で、「星雲と星団の新一般カタログ」を意味している。このカタログでは、有名なアンドロメダ座の大星雲M31はNGC224、オリオン座の大星雲M42は、NGC1976と表記される。
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NASAと欧州宇宙機関は長期間にわたりハッブル宇宙望遠鏡を用いて、我々の銀河系によく似た構造を持つ渦巻銀河の鮮やかな姿を捉え続けてきた。これまでに145個の円盤状銀河の研究を行ってきているが、このNGC2903の写真はその活動の中で得られたうちのひとつである。
この渦巻銀河はしし座に位置し、地球からおよそ3,000万光年のかなたの宇宙空間に浮かんでいる。1光年は10兆キロメートルに相当し、3,000万光年といえば、人間にとっては気の遠くなるような距離ではあるが、宇宙全体から見れば、それほどの距離ではない。
宇宙が誕生して約138億年が経過したが、地球から観測が可能な宇宙の大きさは138億光年をはるかに超え、半径約450億光年であるとされている。このような値をとるのは宇宙が誕生して以降、膨張を続けているためであるが、真の宇宙の大きさはこれよりもさらに大きいと考えられている。つまり人間が観測可能な宇宙のごく一部の領域でさえ、直径900億光年もの大きさがあり、この値との比較では、NGC2903までの距離3,000万光年は大した値ではないということになるのである。
ハッブル宇宙望遠鏡を用いたこの取り組みは、銀河の中心に潜むブラックホールをはじめとしたさまざまな構造を解明するためのものである。銀河の中心に極めて質量の大きな天体が存在することは1950年代には既に予測がされていたが、現在ではどの銀河の中心にも巨大な質量でかつ極めて小さな天体、つまりブラックホールが存在していることは天文学者たちの間では常識的となっている。
これらのブラックホールの質量はいずれも太陽の数百万倍もあることが判明しているが、地球の近くにこのような天体が存在していない幸運に我々は感謝すべきであろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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