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『なぜ、クルマは着替えないの?』トヨタのKINTO サブスクリプションサービスがトレンド
「KINTO」での提供車種。(画像: トヨタ自動車の発表資料より)[写真拡大]
車の世界でも「サブスクリプション」サービスが広がっている。簡単に言えば、月額「均等払い」で利用する権利を買うということだ。トヨタが提供する「KINTO」では月額5万円前後から10万円で、今のところ3年間の同一車種だ。ただし、レクサスでは6カ月で車種を交換できるシステムで18万円ほど。ポルシェ、キャデラック、メルセデスベンツ、BMW、フォード、ボルボなど世界の各社でもいろいろ工夫を凝らしたシステムを提供し始めており、今後の動向が注目される。
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考えてみれば、昔から月額で利用権を買うシステムは数多くあった。アパートの家賃がそれに相当する。電話は、固定電話の時から機械と回線使用料込みのレンタルだった。新聞も月額で決められていた。このように、システムとすれば新しくはない発想だが、自動車に適応してきたのが驚きだ。シェアリングなどと同様に所有の無駄を少なくする試みもあるが、一方トータルでは金額が高くなることがあって、利用権を買う考え方はどのようなことなのであろうか?
1984年ごろ、『なぜ、時計も着替えないの』と言ったのは、時計製造会社セイコーのCMでのキャッチコピーだ。このキャッチは実に巧妙で、この言葉だけで腕時計の市場が数倍に広がったことになる。
腕時計は、昔は貴金属類と捉えられ高価なもので、大切な一つを長く使うことが習慣だった。それが高度経済成長で所得が増えたこと、デジタル時計など安く高性能な時計が大量に販売されるようになって、時計を貴金属とは考えなくなってきたのだ。そこで「洋服やシチュエーション」に合わせて、洋服を着替えるように時計を変えてはどうか?と提案しているのだった。言葉だけで市場を数倍に広げてしまう、大変興味深いキャッチコピーだった。
現在、車に「サブスクリプション」サービスが適応されてきた背景に何があるのか? 社会の変化としては、車以外に数多くの消費対象となる「商品・サービス」が増えてきた。それなのに所得が伸びず、実用以上に車に消費する意欲がなくなってきた。また車は、スマホのように専門知識を必要としない商品となった。そして何より「車の信頼性」が高くなったことが考えられる。するとポイントは、「金額」がどの程度に落ち着くのかで、普及が進むか否かが決まることが考えられる。
車の信頼性が上がったことは、整備の知識も必要がなくなりディーラー任せで実用になるようになってきた。一般家電と同様な扱いとなり、安全が保てるようになってきているのだ。『なぜ、クルマも着替えないの?』と言える環境が整い始めているのだ。トヨタのサービス「KINTO」で3年間同じ車種を使い続けるのであれば、「リース」と変わらない。しかし、6カ月ごとに車種を変えられるとなると、世界は違ってくるだろう。まだ料金は「割高?」の感がするので、今後普及していくのかは分からないが、新しい価値判断の時代に適応できるスタイルのサービスであろう。
日本の経済発展に希望が持てない今の環境では費用の点で、はるかに少なくて済む「シェアリング」のほうが普及するのではないかと感じる。タクシー業界の利権、自動車ディーラーの利権などの動向いかんで決まってくるのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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