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天の川銀河は小さな銀河が合体して誕生 星の重元素から解明 国立天文台など
すばる望遠鏡の高分散分光器HDS (c) 国立天文台[写真拡大]
国立天文台や中国国家天文台などの研究チームは、すばる望遠鏡の観測により、天の川銀河(銀河系)の中に特徴的な元素組成を持つ恒星を見つけた。これは、天の川銀河が矮小銀河(小さな銀河)が合体してきた証拠である。
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■恒星の進化と元素組成
我々の身近にある元素の多くは超新星爆発で生成される。
超新星爆発と言われる恒星の大爆発にはいくつかの種類とメカニズムがある。太陽の12倍以上の質量を持つ恒星の場合、核融合反応で中心に鉄の核ができるが、この中心部は超新星爆発によって中性子星あるいはブラックホールになり2度と宇宙空間には出てこない。
質量が太陽の4~8倍程度の恒星の場合、炭素まで核融合反応が進むが、炭素の核融合反応が暴走し星全体が跡形もなく吹き飛ぶため、星の内部の物質はすべて宇宙にばら撒かれる。この爆発のエネルギーによって鉄よりも重い元素も作られる。
このことから、多くの大質量星が生まれ、それが次々と超新星爆発を起こすような環境では、星間ガスに重い元素が含まれる割合が高くなる。逆に星の誕生がゆっくり進む環境では重い元素が含まれる割合が高いということになる。
■銀河系の形成過程
銀河系のおよそ2000億個の星々は、直径約2万光年の球状の部分(バルジ)と、直径約10万光年の円盤部に分布している。一部の星と100個あまりの球状星団は、ハローと呼ばれる銀河系の中心から約15万光年の球状の領域に分布している。
かつて銀河系は、ハロー領域にあった矮小銀河であり、いくつもの矮小銀河が衝突を繰り返したことによって現在の姿になったと考えられている。この銀河同士の衝突の名残が球状星団である。
矮小銀河では星の形成はゆっくりと進み、重元素を大量に含む。今回の観測では、対象となった恒星のマグネシウム/鉄比が低いことに加え、鉄より重い元素が相対的に多いことが分かった。
このような極端な組成を持つ恒星が見つかったのは、天の川銀河では初めてのことだ。その一方でこれと極めてよく似た組成を持つ星が数例、銀河系周辺の矮小銀河の中に見つかっている。これは、銀河系が矮小銀河が合体してできたことを明確に示す証拠である。
この研究成果は、英国の天文学誌『ネイチャー・アストロノミー 』に2019年4月29日付で掲載された。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)
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