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AIで幻と消えるBMW・「M」の世界(上) 幻の高回転型エンジンの魅惑
BMW M2 Competition(画像: ビー・エム・ダブリューの発表資料より)[写真拡大]
■強烈なBMW・「M」の世界
2016年1月登場し、2018年8月にマイナーチェンジを受けて、さらに強力になったBMW・M2がある。最高出力(馬力)410ps/6250rpm、最大トルク56.1kg・m/2350~5230rpmとなり、マイナーチェンジ前と比べると40ps/8.7kg・m向上させている。市販車としては十分すぎるパワーだ。このパワーユニットと切れ味鋭いハンドリングが、「M」の世界を作り出している。
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BMW・M2の、2979cc直列6気筒DOHC24Vターボチャージのスペックを持つエンジンは、BMWの得意とする仕様であろう。しかしここで注目しておきたいのは、「最大トルク56.1kg・m/2350~5230rpm」である。車重1610kgに対して、トルクウェイトレシオ28.7kgと強大なトルクがあり、それを発生するトルクバンドの広さだ。ターボチャージの効果でこれが叶えられているのだが、7速DCTと組み合わされている。6速MTもあるが、レーサー級の腕前でも7速DCT以上に速く走ることは容易ではあるまい。
■「有効なトルクバンド」の範囲内にエンジン回転を保つ
ガソリンエンジン車を速く足らせるには、「有効なトルクバンド」の範囲内にエンジン回転を保つことが絶対条件だ。エンジンは低回転領域では有効なトルクを発生できない。そのためミッションで適切な回転数に保てるように操縦するのが、コツなのだ。それがNA(自然吸気)エンジンを前提とした、イギリスで流行した「ライトウェイトスポーツカー」の楽しみ方だった。
ターボチャージを用いずNAであったエンジンは、回転数で馬力を稼ぐ必要があった。そして高回転型エンジンの、力の発揮できる回転数でエンジンを使うのが、優秀なドライバーであるとなっていた。素早いシフトチェンジが求められていたのだ。しかし現在のBMW・M2の仕様ではトルクバンドが広いため、それほどシビアにエンジン回転を高く保たなくとも強大なトルクを使うことが出来るのだ。そのためそれほど「ギアチェンジ」に気を使わなくても済む。さらにはレーサーよりも適切に、自動で素早くギアチェンジしてくれる。
「カン高い」エキゾーストノート(エンジン排気音)を聞きながら、エンジンの回転数を体に感じて、素早いシフトチェンジをすることが必要なくなったのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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