地味~な!世界一のハイテクカー(2) マツダ・CX-30 ビークル・アーキテクチャー

2019年4月8日 16:25

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マツダ・CX-30(欧州仕様車)(画像: マツダの発表資料より)

マツダ・CX-30(欧州仕様車)(画像: マツダの発表資料より)[写真拡大]

 地味~な!世界一のハイテクカー、マツダ・CX-30を語るには、2つのテーマに注目すると良いだろう。1つは、かなり知られてきた「スカイアクティブ-Xエンジン」だ。もう1つは、ほとんど注目されていない「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」である。

【前回は】地味~な!世界一のハイテクカー(1) マツダ・CX-30 「魂動デザイン」は飽きた?

全く地味に感じるが、自動車としては基本的な技術での革新である。マツダは、「スウィング生産」などを前提にしたサプライチェーンの構築のためとなる「モデルベース開発」「モジュラー設計」など、ユーザーには直接商品力として訴えかけられない技術開発を続けているのだ。いつかこの努力が、ベンツ・BMW・アウディなどのように、世界の「プレミアムカー」としての地位を築くことを願っている。

■(1)SKYACTIV-Xエンジン

 「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火」と名付けられたマツダのエンジン燃焼技術。「HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火」燃焼と、SI(火花点火)して「火炎伝播燃焼」する、「ストイキ」(最適バランスガソリン混合比)での燃焼とのスムーズな移行を可能とした、熱効率向上を目指したエンジンのことだ。

【参考】ガソリンエンジンが良い! (9) 発売間近!マツダ3・スカイアクティブ-X「SPCCIエンジン」

 SKYACTIV-Xエンジンの方式は、世界でマツダ1社だけが実用化出来た技術だ。画期的エンジン技術であり、技術者にとっては羨望の技術だ。しかしユーザーにとっては、「燃費が少し良いのか?」としか感じられないため、「商品価値」としてはあまり効果がみられない。

■(2)「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」

 これはプラットフォームの構造に、これまで剛性を高めるだけであった考え方から、人間が現実に感じる素直さを狙った概念を取り入れた構造。ショックをしなやかに受けいれる構造で、前部から入ったショックが遅れなく後部に伝わるクロスメンバー、またシートは柔らかいのではなく、人間の骨盤に自然にショックが伝わることを目指して固めにセットされていたりなどする。部材の継ぎ手も剛性を高めるばかりでなく節を作らないなどして、しなやかに緩み、たわんでで、ボディー全体で緩やかにショックを受け止めている。

 これまで、ソファーのように柔らかいシートや、ある程度固めのシートでも長距離で疲れないシートが作られていた。昔のアメリカの車は、シートがめっぽう柔らかかった。ドイツ車のシートは、固いのだが疲れなかった。その後もシートの研究は続けられてきたに違いないが、マツダはシート単体で考えるのではなく、タイヤのサイドウォールの柔らかさも加え、サスペンション、プラットフォーム、シート、そして人間のお尻の肉厚まで加味し、快適さを考え直したようだ。

 そして、プラットフォームの継ぎ手においても、“がちがち”に繋ぎ止めるのではなく、ある程度柔軟性を持たせて、しなやかに変形しショックを受け止めるようにしているようだ。ショックを角が立たないように受け止めることで、操縦安定性が問題になってくるが、クルマの重心をコントロールすることで解消していると言う。G-ベクタリング・コントロール(GVC)がスムーズさにも貢献しているようだ。

 これらの最新鋭の技術が「商品価値」向上に貢献出来るのかは、ユーザーの技術的知識に頼っているとしか見えない。マツダのこれらの最先端技術が、ベンツやBMWと同等の世界のプレミアムカーに、マツダをのし上げてくれることを願ってやまない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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