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ガソリンエンジンが良い! (4) ミッション多段化、CVTの高効率回転域で運転
現在、エンジンの熱効率は30%~40%に上がった程度だが、燃費は2倍に伸びている。それは、ハイブリッドでモーターの力を使うことや、ミッションの進歩や軽量化の技術の進展が大きい。ターボは排気熱の回収手段と見ることもできる。ターボチャージャーは排気でタービンを回し過給することで、ダウンサイズして間接的にCO2排出を抑えている。
【前回は】ガソリンエンジンが良い! (3) ダウンサイジング、ストイキ燃焼での熱効率向上の努力
一方で「ターボコンパウンド」は、排気タービンを用いることは同じだが、直接駆動軸に繋げるシステムだ。HV以外にも損失を減らすことで「ストイキ(理論空燃比)燃焼」(通常の混合気燃焼)での熱効率向上の努力が続けられている。
■自動変速機、CVT・多段式DCT・多段式ロックアップ装置付きATなどの働き
最近10年間で、熱効率向上が10%程度上がったと見られる中で燃費が約2倍に向上したのは、軽量化、機械損失の低減などがあるが、何よりもミッションの進歩が貢献しているだろう。無段変速(CVT)や、その他の変速機の多段化で、高効率回転域でのエンジン運転が可能となったことが大きい。
CVTは日本で特に普及してきたが、エンジンにとって理想的なミッションと言えるのだ。車速に合わせてエンジンが最も効率が良い回転域で運転できるように無段階変速ができるので、燃費を向上させるシステムなのだ。CVT車の運転では、アクセルの踏み込みに対して遅れて変速が始まることで起きる「ラバーフィール」が嫌われる傾向があるが、それはむしろプロ級の運転テクニックを持つ人にとってであり、実用車では気にする必要はない程度だった。
CVTについては、古くからスバルが得意とする技術だ。現在では、CVTでありながら「段付き制御」を取り入れて、運転フィーリングとの整合性を図っている。CVTは、プーリーのようなお椀型円盤でチェーンなどを挟み、遠心力を用いて自動変速させる仕組みだ。これは、スクーターの自動変速機でなじみが深い。
また日産がルノーに出資を仰いだ時、大馬力用CVTの開発に成功しており、この日産のCVT技術だけで2000憶円の価値はあると言われたものだった。それは、プーリーの材質が破損を防ぐため特に純粋な鉄で造られており、それを「精錬する技術」は、「現場の職人が開発した」と言う、世界に類を見ない過程を経て開発された技術と伝えられているからだ。
かつて、ターボチャージャーに対して「ターボラグ」を嫌った感想が多くあったが、それはかなり高度な運転テクニックの場合に限られている。CVTも含めて実用車の運転の時に、タイムラグはそれほど気にする必要もないのが実態だ。人間はこれまでの感覚や習慣から抜け出すことが難しく、日産・リーフのアクセルを離すとブレーキがかかるフィーリングは、営業的に見て採用するには冒険であったことだろう。
欧州各国の場合、生産設備を従来のまま使えるDCTのほうが普及したが、それも8・9・10段と多段化がすすめられ、燃費向上に貢献している。
またATについては、普及が始まった当初「5%ほど燃費が悪い」と言われた。しかし現在のATでは、MTでの発進時のような「半クラッチ」状態の時だけトルクコンバータを用い、すぐにロックアップするシステムが追加されて、燃費のロスはなくなっている。
一方CVTについては、トヨタが「1速固定ギア」を設けたCVTを作り、「ラバーフィール」を解消しようとしている。これも従来の運転フィーリングとの整合性を図っている努力であり、目的はエンジンの最高効率回転数域で運転させ、燃費をよくするためなのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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