産総研ら、全固体電池の界面抵抗の低減指針を発表 実用化の道拓く

2018年11月27日 08:51

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全固体電池の概略図と写真(写真:産業技術総合研究所の発表資料より)

全固体電池の概略図と写真(写真:産業技術総合研究所の発表資料より)[写真拡大]

 東京工業大学、日本工業大学、産業技術総合研究所(産総研)は23日、全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現。その鍵が電極表面の規則的な原子配列であることを発見したと発表した。

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 スマホや電気自動車向けの二次電池の主役は、リチウムイオン電池だ。このリチウムイオン電池向けの設備投資が旺盛な一方、次世代の二次電池の主役は全固体電池に採って代わるといわれる。それは、リチウムイオン電池の構造から生じる課題から、全固体電池へと実用化に向けた研究が進む。

 リチウムイオン電池は、正極・電解質・負極からなり、正極と負極間にはセパレータを設けて、リチウムイオンが行き来することで、充電と放電を行う。実用化されている電池の中では最もエネルギー密度が高いが、電解質に可燃性の電解液を用いることが構造上の課題だ。この電解質を固体にしたものが全固体電池であり、次世代の電気自動車では必須な技術だ。

●全固体電池のメリット

 全固体電池は、可燃性の電解液の代わりに無機系の固体電解質を用いるため、発火の危険性が小さくなる以外にも、大きなメリットがある。

 リチウムイオン電池では、電池ケースの中で可燃性の電解液を安全に閉じ込める構造から重量エネルギー密度を上げることが困難だ。次世代の電気自動車に要求される走行距離500キロメートルの達成は、全固体電池に委ねられている。

 動作温度範囲が広がることも大きなメリットであろう。リチウムイオン電池では、低温で電解液の融点をまたげば、リチウムイオンの移動抵抗が増し、電池の内部抵抗が上昇する。他方、高温領域ではセパレータが溶融しはじめ、発火の危険を生む。

 電気自動車のように高出力を必要とする場合は設計の自由度のメリットも大きい。リチウムイオン電池の電圧は3~4ボルトであり、高い電圧を発生するには電池ケースを直列に組電池する必要がある。他方、全固体電池は可燃性の電解液を使用しないため、電池ケースの中で直列接続が可能だ。

●極めて低い界面抵抗の全固体電池の指針

 固体電解質と電極の形成プロセスを最適化することにより、極めて低い界面抵抗(5.5オーム/平方センチメートル)を得た。これは、全固体電池の従来報告の1/40の値であり、高速充電を実現することにつながる。

 界面近傍においても薄膜内部と同様に原子が規則的に配列した結晶性を持たせることが指針である。緻密な構造制御によって界面形成時に生じる構造の乱れを抑え、界面での規則的原子配列を維持した。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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