消費税の引き上げ、企業の5割以上がマイナス影響及ぼすと懸念 TDB調査

2018年11月15日 20:18

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 帝国データバンクは14日、消費税率引き上げに対する企業の意識調査結果を発表した。企業の活動に業績の面で、また業績以外の面でマイナスの影響があると答えた企業は合わせて55.1%、特に小売業では81.2%に達した。一方で影響はないと答えた企業は計27.6%で4社に1社ほど、プラスの影響を見込む企業は計2.1%となっている。

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 政府は2019年10月に消費税率を10%に引き上げると発表している。その消費税率の引き上げ自体については「予定通り実施すべき」とする企業が43.3%であった。

 だが「時期を延期しての実施」、「税率の引き下げ」、「現行の税率維持」を唱える否定派の企業も計43.1%とほぼ同じ割合となった。なお消費税率引き上げに否定的な見解をもつ企業は大企業に比べ中小企業のほうが多い。

 軽減税率導入への対応としては、「制度内容の確認」が41.8%で最多となり、それに「影響が生じる事務の確認」、「会計システムなどの導入・改修・入れ替え」が続く。消費税率を8%に据え置く軽減税率制度は、生活必需品の税率を抑えて低所得家庭の負担を軽減することが目的とされる。

 対象品目は酒類や外食を除く飲食料品と、週2回以上発行される定期購読契約に基づく新聞だ。ただ対象品目を扱っている事業者にとっては、商品によって税率が変わるため、例えば小売業からはレジ会計時の作業が煩雑になるとの声もある。

 政府に優先的に取り組んでほしい政策には67.8%の企業が「景気対策」をあげ、ほかの事柄を引き離してトップとなった。税率引き上げに伴う景気の落ち込みを緩和するための対策として、政府はキャッシュレス決済における購入額2%分のポイント還元を検討している。

 また高価格で増税後の買い控えが見込まれる住宅と自動車分野でも対策が考えられている。住宅ローン残高に応じて所得税を軽くする住宅ローン減税や、一定の年収額を下回る人を対象にしたすまい給付金の拡充がその一例だ。自動車では購入時の税負担の軽減、エコカー減税の拡充が議題にあがっている。

 2014年の消費税率8%への引き上げ時には個人消費が想定を超えて長く悪化した。その経験のためか、今回の消費税率引き上げについては企業の懸念が窺える結果となった。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る

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