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【どう見るこの相場】長期金利上昇でメガバンクなど金融株がギャップアップ、割り負け「01銘柄」は追随可能性の有資格候補株
またまた3連休である。しかも3連休前の5日の米国市場では、9月の雇用統計の発表が予定され、重要イベントが控えていたことは9月の第3週、第4週と同様であった。日経平均株価は、3連休前に3日続落し約500円安し、フシ目の2万4000円を割って引けており、3連休明けの9日は、米国の長期金利の急上昇やイタリアの財政懸念などは、織り込み済みとなってスタートするのかどうか、前2回と同様に判断に悩むところだった。イタリアの財政懸念が追い討ちとなり、それに中間選挙まであと1カ月を切り、暴露本や脱税疑惑のスキャンダルに追われているトランプ大統領から、なりふり構わぬどんなハプニングが飛び出さないか潜在的なリスクまで心配しなくてはならなった。
幸いなことに、3連休最終日8日の米国ニューヨーク工業株30種平均(NYダウ)は、小幅ながら3営業日ぶりに反発した。債券市場は、コロンバスデーの祝日で休場となったが、3連休前の5日に米国の10年物国債利回りが一時、3.24%と2011年5月以来の水準まで急上昇していたことで銀行株や小売り株のディフェンシブ系の割安株が買い直されたことが反発につながった。この長期金利の上昇は、投資セオリーでは相対的に高PER(株価収益率)まで買われているハイテク株(成長株)が、割高感を強めて調整局面入りする一方、消去法的に運用環境の改善、利ザヤ拡大期待を背景に大手金融株などの割安株選好が進むファクターとされた。実際に8日の米国市場では、NYダウは反発したものの、ハイテク株中心のナスダック総合株価指数は、3営業日続落となった。
3連休前の5日の東京市場でも、米長期金利上昇を材料に逆行高する銘柄が続出した。日経平均株価が一時、250円安するなかメガバンク株や保険株が大きく買われ、安倍首相が議長の未来投資会議が、経営統合促進策の議論を始めると伝わった地方銀行株は軒並み高となった。メガバンク株は、PERは10倍を切り、PBRは1倍を割り、配当利回りも市場平均を上回る割安株の代表である。また時価総額が大きくTOPIX(東証株価指数)の中心銘柄であり、TOPIXが、すでに先物取引主導で年初来高値を更新し、一時は約27年ぶりの高値まで買い進まれた日経平均株価にキャッチアップして少なくとも年初来高値を奪回すれば、なお10%~20%の上値余地が計算される。米国の大手金融株ともども、3連休明け後の市場動向のカギを握るコア・ストックになるはずである。
そこで金融株がなお上値を追うことを前提に、追随の可能性のある割安株グループのもう一つ別のセクターに注目してみたい。「01(ゼロイチ)銘柄」である。ずいぶん長い間、聞くこともなかった「01銘柄」だが、かつては相場の佳境期には必ず全員参加型の株価形成をし主力株人気の一角で存在感を際立たせたものだ。「01銘柄」とは、コード番号の末尾2ケタが「01」となっている銘柄で、上場会社に厳然とした序列があった時代に、業界トップ会社に位置して業界団体の会長会社の重責を担い、そこから「財界総理」とも尊称された経済団体連合会(当時)の会長まで輩出した。この至ってシンプルな「01」のコード番号が、投資テーマとなるのだから考えてみればおおらかな時代だった。
その「01銘柄」は、このところとみに存在感を希薄化させている。経済のグローバル化は急速で、技術革新の荒波が押し寄せ、産業構造の流動化が激しくなるなか業界序列など意味をなさなくなり、名門企業が、名前だけで安閑としていた時代など遠い過去の遺物と化しつつあるなかでは無理もない。株価的にも、そこそこの業績推移をみせながらも、日経平均株価並みに年初来高値まで買い進まれた銘柄は、キッコーマン<2801>(東1)、富士フイルムホールディングス<4901>(東1)、伊藤忠商事<8001>(東1)など一部分にとどまる。大半は、年初来安値から底上げしてようやく25日移動平均線を上抜いたが、この水準で中段固めを続けているところだ。株式需給的にも、名門企業だけに持ち合い株式の解消売り懸念を内包し、また時価総額が大きくTOPIXの主力銘柄だけにTOPIXが日経平均株価に割り負けるしわ寄せも受けてきた。
この存在感の希薄化を逆に狙い目としたい。直近の四半期業績が取り敢えず増益で着地し、PER・PBR評価が市場平均を下回っている01銘柄は、メガバンク追撃の資格を有しているはずで、存在感を発揮して往年の輝きを取り戻してくれることがあるかもしれないのである。なかでも増益業績にプラスアルファのある銘柄は、キッコーマンや富士フイルムHD、東洋製缶GHD、伊藤忠と同様に値幅効果を強める可能性も大となる。
■増益着地の直近の四半期業績にプラスアルファがあれば値幅効果の期待大
キッコーマンが、日経平均寄与度のプラス・ランキングにたびたび顔を並べるのは、「日本食」が、世界的なブームから定着に質的に変化して同社のグローバル展開の可能性が大きいことが背景にある。この成長可能性を評価し、証券各社が投資判断と目標株価を引き上げ、また株価上昇とともに投資判断・目標株価引き下げが交錯、信用取組が拡大均衡、逆日歩のつく好需給となり、プラスアルファとなっていることがより値幅効果を大きくしており、プラスアルファに関しては富士フイルム、東洋製缶、伊藤忠でも同様である。
直近の四半期決算が、増益で着地した01銘柄をコード番号順に上げると次の通りとなる。東洋紡<3101>(東1)、帝人<3401>(東1)、ADEKA<4401>(東1)、横浜ゴム<5101>(東1)、AGC<5201>(東1)、東海カーボン<5301>(東1)、新日鉄住金<5401>(東1)、コマツ<6301>(東1)、日立製作所<6501>(東1)、島津製作所<7701>(東1)、大和証券グループ本社<8601>(東1)、三井不動産<8801>(東1)である。PER評価は、島津製作が約30倍、三井不動産が16倍、大和証券G本社が、3月通期予想業績を非開示としていることで算定不能となるが、それ以外は市場平均を下回っている。
このうちプラスアルファに関しては、四半期決算の開示とともに自己株式取得を発表したのが帝人、AGC、大和証G本社、三井不動産で、同じく今期業績の上方修正を発表したのがAGCと東海カーボンで、東海カーボンの今年8月の上方修正は、今年5月の2回の上方修正を含めて合計3回目となる。またM&Aを実施した01銘柄もあり、新日鉄住金、伊藤忠が該当する。直近の四半期業績は、減益となったが、日本航空<JAL、9201>(東1)は、四半期決算と同時に世界の航空会社で初めて中長距離国際線の格安航空会社の準備会社設立を発表しており、吉となるか凶と出るかにトライ、PER11倍台の割安修正期待を高める展開も想定される。
■構成銘柄の定期入れ替えで「TOPIX CORE30」の割安株も需給好転含み
主力株の割安修正では、「TOPIX CORE30」の構成銘柄も要注目となる。というのも、3連休前の5日に構成銘柄の定期入れ替えで新規の選定銘柄と除外銘柄が発表され、実施日が10月30日に予定されているからだ。新規選定の花王<4452>(東1)やリクルートホールディングス<6098>(東1)が、需給好転思惑で人気化するようなら「TOPIX CORE」連動型ファンドのリプレース買いも加わって値幅効果が期待できることになる。ここでもPER評価が市場平均を下回り、年初来高値に対して上値余地の大きい銘柄が中心になる。JT<2914>(東1)、パナソニック(6752>(東1)、デンソー<6902>(東1)、トヨタ自動車<7203>(東1)、ホンダ<7267>(東1)キヤノン<7751>(東1)、三井物産<8031>(東1)、三菱商事<8058>(東1)、JR東日本<9020>(東1)、JR東海<9022>(東1)、NTT<9432>(東1)、KDDI<9433>(東1)などである。すでに底上げ先行の「TOPIX CORE30」の構成銘柄のメガバンク株や東京海上ホールディングス<8766>(東1)を追撃することになろう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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