JR東日本、大宮支社で脱線復旧訓練を実施

2018年10月6日 17:34

印刷

 JR東日本大宮支社では10月12日、事故・災害等発生時における社員の技術力、技能向上を目的に、消防や警察、グループ会社と連携して定期訓練を実施する。今回は宇都宮線を走行中の下り電車が踏切内に進入してきた乗用車と衝突し、車両が脱線したことを想定。速やかな復旧体制の確立と、さらなる対応能力向上を図ることが目的だ。奇しくもその前日の10月11日は「鉄道安全確認の日」として制定されている。

【こちらも】JR東日本、総合防災訓練を実施 防災週間に合わせ

 実施日時は10月12日の午後1時30分から午後4時まで。栃木県下野市にある小山車両センターにて実施し、車両が脱線した場合に、安全かつ速やかな対応と乗客の救済、加えて早期の運転再開に向けた速やかな対処を目的とする。

 定期的に開催することによって、自然に対処法が身に付くということであろう。事実、よく耳にする“想定内”か”想定外“かは、模擬的にも体験したかしないかに依拠することが多い。人間は想像できないことにはどう対応してよいかわからず、正しい判断が下せない生きものなのだ。

 だからこそ、JR東日本に限らず、私鉄各線でもこうした大規模事故を想定した訓練は定期的に行われている。

 京成電鉄では2016年に「異常時総合訓練」と称し大型台風の接近に伴う災害に対しての訓練が行われていた。しかしながら本年の台風24号がもたらしたとされる架線の塩害による火災には沈静化に手こずっている。これはもちろん、想定していない災害だからだろう。いつどこで火災が発生するかが究明できないことが原因だ。現在は、対処療法でしか立ち向かう方法がないからだろう。

 それでも地道な訓練の積み重ねがなかったら、こうした現実に対処できただろうか。言うなれば地道な想定訓練があったからこそ、思いも寄らない火災にも迅速に対処できたのではないだろうか。

 2018年は台風や豪雨など、大規模な天災が立て続けに発生している。自然の力の前では人間はなすすべがないという印象が強い。それでも、発生した事故を分析し、事故を想定して訓練するという愚直なまでの行為がなければ、安全は担保できないのかもしれない。(記事:M_imai・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事