関連記事
スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(9)書類の改ざんに関与はあったのか?
シェアハウスへの融資で揺れるスルガ銀行が、18年3月期の純利益予想が半減するとの見通しを発表した。今まで430億円と見込んでいたが、シェアハウスへの融資のリスクを勘案して、約400億円の貸倒引当金を積み増しするため、同期の連結純利益が対前期比50%減の210億円程度になりそうだという。
【前回は】スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(8)金利の見直しが水面下で進んでいた
更にスルガ銀行は、シェアハウスへの融資書類が改ざんされていた問題で、役員や行員の関与なかったかどうかを、第三者委員会で調査する方針を固めたと伝えられる。
2月に顧問弁護士らによって「危機管理委員会」をつくり社内調査を行った結果、内部で不正行為があったという証拠は、なかったとした。シェアハウス購入希望者の年収証明書の金額や預金残高を、何倍にも嵩上げした多数の改ざんは販売代理店などが行ったとして、スルガ銀行の担当者等の関与を否定し、“銀行は被害者だ”という趣旨の結論をしているという。「危機管理委員会」の報告書は非公開なので、確認する術はない。
「危機管理委員会」は言わば“身内”の調査機関である。適正な客観性を持ちながら、厳格に調査をすることは非常に困難であると思われる。委員会を構成する顧問弁護士の報酬は、顧問先の銀行から支払われる。顧問弁護士がスルガ銀行へ“忖度”することは、容易に想像されることだ。伝えられるところによると、スルガ銀行が第三者委員会での調査を“止む無し”と受け止めた背景には、金融庁からの強い働きかけがあったという。
金融庁は、地方銀行の中で収益力が抜きんでていたスルガ銀行を、「銀行の新たなビジネスモデル」と持ち上げて来た。その金融庁は、スルガ銀行への対応を中途半端にして、自らに批判の風向きが変わることを恐れているだろう。
燻っていたスルガ銀行に、利益半減という火の手が上がった。今後も、金融庁による行政処分、経営陣の責任問題、スルガ銀行の担当者への刑事告発の懸念、訴訟問題の帰趨等、日替わりの延焼要因は目白押しだ。そして静岡県には多すぎると言われる静岡銀行、スルガ銀行、清水銀行という地銀3行の再編にまで突き進む可能性までささやかれ出している。しばらくは火勢を眺めるほかに、手立てはないのかも知れない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
スポンサードリンク