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霊長類の嗅覚はいかにして退化していったか、東大とJSTの研究
バーバリーマカクと呼ばれる霊長類の鼻。[写真拡大]
霊長類の嗅覚の退化がどのように起こったかを、嗅覚受容体遺伝子の比較によって明らかにした研究が発表された。東京大学とJST(科学技術振興機構)の共同研究によるものだ。
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発表者として名を連ねているのは、東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 特任准教授/JST ERATO 東原化学感覚シグナルプロジェクト グループリーダーの新村芳人氏、同じく特任研究員・プロジェクト員の松井淳氏、同じく教授・研究総括の東原和成氏。
さて、退化というのは実は謎の多い問題である。ダーウィン以前の進化理論(あえて進化論とは表記しない)においては、ごく自然に、使用しない器官は自然に退化するものだという見解が提示されていた。これを要不要説という。しかしダーウィン以降、特にDNAの発見によって、要不要説が仮に正しいのだとしてどのような機序によってそれが発生するのか、かえって謎に包まれてしまったのである。
だが現実問題として霊長類は視覚に依存した存在であり、種にもよるが嗅覚はあまり優れていない。その祖先はそうではなかったはずであるが、特にヒトや類人猿についてはその退化の現れは著しい。これはいつ、いかなる経緯によって起こったのか。
研究グループは、24種の霊長類のゲノムの嗅覚受容体(OR)遺伝子を分析し、その退化のシナリオを明らかにした。
解析の結果として、霊長類を大きく曲鼻猿類(鼻腔の曲がっているサル)と直鼻猿類(鼻腔の真っ直ぐなサル)に分けたとき、前者は後者の2倍のOR遺伝子を持っていることが分かった。
歴史を辿ると、食性の変化、すなわち果実食から葉食への変化が生じたころ、OR遺伝子の消失速度は劇的に高まったらしい。これが今回の研究の主眼点である。
なお、研究の詳細は、Molecular Biology and Evolutionに発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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