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生命保険各社、長寿化で死亡保険料値下げへ
長寿化に伴う死亡率の低下により、生命保険各社の保険料値下げが始まっている。死亡するリスクが低下することで保険会社が支払う保険金も少なくなっているためだ。[写真拡大]
死亡保険は多くの人がかけている保険のひとつだろう。死亡保険については自動車保険などと異なり強制的に加入しなければならないというルールはないものの、家族のために自身が亡くなった後の備えのためにかけているという人も少なくない。死亡保険の保険料は加入した時の年齢に応じて変わっていく仕組みである場合が一般的で、年齢が高くなるほど死亡するリスクも高くなることから保険料も高くなるケースが多い。そんな死亡保険の保険料について、生命保険各社で起こっている動きが値下げである。
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生命保険各社では、死亡保険の保険料の大幅な値下げを進めているが、その背景にあるのが医療技術の進歩に伴う長寿化である。言うまでもなく死亡保険とは、加入した人が死亡することで保険会社から保険金が支払われるというものだが、死亡する人が少なくなれば支払う保険金も少なくなる。長寿化ということは、それだけ死亡するリスクが低下しているということでもあるため、生命保険各社の保険金の支払についても少なくなっている傾向にあるという。そこで生命保険各社では保険料の値下げに踏み切るというわけだ。
今回の生命保険各社の値下げの根拠のひとつとなっているのが「標準生命表」である。これは、保険業法で定められた保険料の計算に用いられる表のことで、死亡率や平均余命などを各種統計情報から算出したものである。2018年4月にこの標準生命表が11年ぶりに改定され、想定される死亡率が下がることから生命保険各社では値下げを行う方針を固めている。
日本生命<6271>では、定期型の死亡保険料について最大で24%の値下げを行うと発表した。この値下げについては新規に死亡保険に加入する人や、契約を更新する人が対象となる。それに応じて生命保険各社も値下げに追随する。第一生命<8750>では、保険商品全般に対して契約時に健康診断書を提出することで保険料の割引が適用される仕組みを導入する。健康診断を受ける人はそれだけ死亡するリスクも低いということから、保険料を下げる方針だ。
このように、長寿化に伴う死亡率の低下は、生命保険各社にとって様々な影響を及ぼしている。死亡保険などの保険も資本主義社会の条理を受ける以上は価格競争の対象となり、ある一社が値下げをすれば当然ながら同業他社もそれに追随することになる。利用者にとっては保険料が下がるということはそれだけ保険を利用しやすくなるということだが、生命保険各社の経営にも少なからず影響が出ることになるため、今後の動向についてはしっかりと注視していきたい。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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