NYの視点:好調な米年末商戦の裏側にあるもの

2018年1月15日 07:36

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記事提供元:フィスコ


*07:36JST NYの視点:好調な米年末商戦の裏側にあるもの
全米小売業協会(NRF)は12日、昨年11-12月の小売売上高は前年比+5.5%の6919億ドルに達したと発表した。この時期における小売売上高の伸び率は2005年以来となったそうだ。昨年12月下旬に米税制改革法案は成立したが、一般消費者の減税への期待は11月頃より広がっていたため、年末商戦時期における個人消費の伸びに寄与したことは間違いないとの声が聞かれた。

ただ、一部の市場関係者は、「減税による賃金・賞与の増加期待が高まっていたことを考えると、11-12月期の小売売上高の伸びは特に高いとは言えない」と指摘している。米商務省が12日発表した昨年12月の小売売上高は前月比+0.4%で市場予想の同+0.5%をやや下回った。減税の効果が表面化するのは1月の数字になるとみられているが、以前から減税への期待が高まっていたことを考慮すると、12月の小売売上高は決して良い数字とは言えないだろう。

市場関係者の間では「減税の恩恵を受けるのは主に富裕者層であり、米国民の一部に限定される」との見方が多い。法人税減税を活用して、多くの企業が賞与の支給や賃上げを実行しなければ、税制改革法案を成立させることに多くの力を注いだトランプ大統領の努力は無駄になってしまうおそれがあるかもしれない。《CS》

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